メニュー ホーム 検索 PCサイトへ
一般社団法人 日本家族計画協会

トピックス

JFPA情報
『視覚障害者としてできること、手助けしてほしいこと』(第1回)

2021年02月27日
JFPA情報1月号テーマ
『視覚障害者としてできること、手助けしてほしいこと』
母子健康手帳は妊娠届の提出と同時に交付される、いわば全ての母親にとっての育児指南書である。しかし、視覚障害者は妊娠・出産・育児の情報にアクセスしづらいのが現状だ。今回視覚障害を持ちながら育児をしている母親3人に話を伺った。併せて点字版やマルチメディアデイジー版といった墨字(印刷された文字)によらない、母子健康手帳の大切さについても語ってもらった。

①インタビュー:広田知江子(ひろたちえこ) 35歳(取材当時)

<プロフィール紹介>
先天性視覚障害を持つ。社会人として働いた20歳ごろまでは光覚・色覚機能あり。はり・きゅう・マッサージ資格を生かして和歌山市内の治療院で働いた後、教員免許を取得し、同市内の盲学校にて教鞭をとる。去年、大阪府泉佐野市にて男児を出産。現在、盲学校に復帰し働きながら子育て中。


広田さん「市の窓口で、晴眼者と同じくらいの情報が欲しい」


子育てについて
 去年、全盲の夫との間に晴眼の男の子が一人誕生した。和歌山市内の盲学校に教師として勤めて7年目。仕事と子育ての両立はなかなか大変だ。子どもが生まれてから約2週間、暮らしている大阪府泉佐野市内の病院で、看護師などに子育ての基本を教えてもらった。ミルクの作り方やおむつ・服の替え方、お風呂の入れ方など全て初めてのことばかり。妊娠中はファミリー教室に通い、お風呂の入れ方を一から教わった。特にミルクの入れ方は感覚を掴むまでが難しく、横で病院の看護師にじっくり指導してもらった。初めの頃はコップを手で触って温度を確かめ、分量も正確に量っていたため時間がかかったのを覚えている。
 退院してからも助産師が月2回、半年ほど訪問してくれ、面倒を見てくれたのがとても助けになった。子どもが4か月になるころに母乳からミルクに切り替えたが、専門的な目で面倒を見てくれてありがたかった。家族の助けだけでなく、病院や市のサポートによって育児の仕方を学べたことは、大変貴重なことだったと思う。

存在が広まっていない点字版母子健康手帳
 点字版母子健康手帳が手元に届いたのは、妊娠届を提出して2か月がたったころだ。知人から母子健康手帳に点字版があると聞いていたため、妊娠届を出した時に自分で市に申請を出した。母子健康手帳には妊娠中の経過などを書き込める他、子育てをしていく上で欠かせない情報が記載されている。市が点字版の手続きをしてくれたおかげで子育てにおける注意事項や子どもの成長の目安が分かっただけでなく、沐浴の仕方なども知ることができた。他にもガイドヘルパーに依頼し、墨字版に子どもの状態を書き込んでもらうときも、点字版はとても役に立つ。点字版が手元にあれば、それを読みながら、墨字版を見るガイドヘルパーに「このページの内容辺りに書いてほしい」と説明することができるからである。もし点字版がなければ、こういったお願いもスムーズにはいかなかった。その中でも特に予防接種時期の情報は細かいため、あらかじめ知っておかないと対応することができなかったと思う。
 私たちには点字版母子健康手帳は大切な情報源という意味で、欠かせないものだ。今回はたまたま点字版があることを知ることができたため入手できたが、知らない場合、手元にあるのは墨字版だけである。母子健康手帳交付時に市職員から点字版があることを最初に案内してくれるようになれば、視覚障害者が手に入れられる情報はもっと多くなるかと思う。

より多くの情報を手に入れたい
 マルチメディアデイジー版母子健康手帳があれば、情報の幅はもっと広がる。全てを点訳してもらうためには墨字版をデータ化して申請をしないと難しい。もし最初からマルチメディアデイジー版があれば、点訳の手間は要らないし、音声から最低限の情報は得ることができる。ただし難点が二つ。マルチメディアデイジー版の場合、パソコンを持っているかどうかで使いやすさは変わってくる。また、その場でもらっても、家に帰ってパソコンを開いてからでないと見ることができない。妊娠届を提出した際にもらったパンフレットは、一枚ずつだったためデータ化を依頼できた。ただ、そもそも資料をデータ化できる、ということを知らなければ情報を手に入れること自体が難しい。行政から配布する資料は全てデータ化を進め、情報を発信していただきたいと思う。
 これからは点字版とマルチメディアデイジー版の両方を市で持ち、視覚障害者の妊産婦が選択できるようになればありがたい。理想として、個人の知識や努力により情報収集ができるか否かが左右されるのではなく、「市の窓口を訪れさえすれば点字もしくはデータで晴眼者と同じくらいの情報がもらえる」ようになってほしい。
 現在、子どもは1歳。最近動きが活発になってきてついていくのが大変だが、とても楽しい毎日を送っている。出かける時も背負いながら、息遣いなどを聞き漏らさないよう気を配って育てている。情報は多ければ多いほど良い。子育てに関する情報は、漏れなく共有していただきたいと思う。


『視覚障害者としてできること、手助けしてほしいこと』は全4回にわたって掲載します。


【バックナンバー】
 第1回 第2回 第3回 第4回
メニュー ホーム 検索 PCサイトへ
トップページ JFPAについて 理事長あいさつ/運動目標・基本方針・スローガンについて 研究倫理審査を希望される方へ サイトポリシー サイトマップ お問い合わせ 国際家族計画連盟(IPPF)会員(MA)としての活動 IPPF・ESEAOR地域会議開催 セミナー&研修会 セミナー情報 メルマガ登録・配信停止 母子保健指導員の研修 ブロック別母子保健事業研修会 トピックス 個人のお客様へ リューブゼリー メノケアモイストゼリー 妊娠を考えたその時から始める「葉酸摂取」 子どもの事故防止教材 「誤飲チェッカー」「誤飲防止ルーラー」 母子保健 健やか親子21の取り組み 遺伝について ブロック別母子保健事業研修会情報 母子保健指導部について 冊子「あなたと赤ちゃんの健康」 お申し込み 子どもの事故予防データベース 子どもの事故防止教材 思春期保健 思春期保健相談士とは 思春期保健相談士の認定について 全国の思春期研究会 思春期電話相談 JFPA 思春期クリニックのご案内 全国の思春期外来 Dr.北村のJFPAクリニック 若者委員会 U-com 女性の健康 緊急避妊Q&A 避妊知識実力テスト PMS(月経前症候群)とは 指導用教材 教材の使い方 DVD教材 パワーポイント教材 PDF教材 機関紙 機関紙「家族と健康」 JFPA家族計画研究センター・クリニックの活動報告 職域保健の現場から 避妊教育ネットワーク