滝澤氏 |
未来を担う子どもたちのための“望む妊娠”をめざして
開業医として
長野市で開業医として診療を始めてから13年になります。
医院は、場所的には、リンゴ、モモなどの果樹園に囲まれた郊外に位置しています。分娩の取り扱いは終了させていただいており、今は婦人科中心に診療をしています。
産婦人科というと、女性にとって敷居が高く受診しにくい、と一概に言われるイメージがあり、症状があっても受診できなかったり、受診をためらい検査を受けるのが遅くなってしまったりすることもよくあります。そういった受診する側の思いを考慮して、女性の受診しやすい環境や雰囲気作りを念頭に置き、なるべく多くの女性に遠慮なく気楽に訪れていただける医院を目指しながら私たちの医院はいろいろな工夫を重ねています。
専任スタッフによるOCの指導風景 |
OCを服用する女性の相談役として
私は、開業以前に勤務していた総合病院時代は、主にハイリスクの症例に対する治療が主な仕事で、避妊、OC(低用量経口避妊薬・ピル)の投与に関してはあまり積極的ではありませんでした。その後、避妊、OCを熱心に進めておられる先生方から豊富な情報をいただき、数年前から避妊、OCに取り組むようになってきました。
つらい月経困難症に悩む20~30代の女性は多く、OCの服用で症状の改善がほぼ全例で見られるようになり、なおかつほぼ100%に近い、高い確率での避妊も可能になっており、OC服用で得られるメリットは大きいのではないかと思うようになりました。医院では、OC服用者に対して、毎回副作用の有無につき確認しており、特に血栓症状の有無については毎回注意深く聞いています。その他にも会話を通してご本人の疑問点、不安点などを聞き、今後のライフプランについてもアドバイスをしています。このように婦人科的なサポートをしながら、訪れて来る女性たちをしっかり支えることができるように私は院内スタッフとともに努力をしています。
こういった指導やサポートは通常の一般外来ではたやすく行われるものではないので、当院では、専任のスタッフが担当しながら、電話相談までも受ける体制を作っています。
望まれた妊娠を目指して
子どもの虐待の大きな原因の一つとして〝望まれない妊娠”があることは、誰もが認識していることだと思います。生まれてくる子どもたちは愛されるために生まれてくるというのが、私が理想として思っていることです。今は少子化の時代になっていますが、そこで子どもたちは将来を担う大切な宝として育てられなければなりません。まさしく子どもたちは夫婦や家族や社会の宝であり、明るい未来を担う貴重な宝だと思われます。
望まない妊娠を避ける方法としては避妊が挙げられますが、反面、望む妊娠ができるようにサポートすることも大切な婦人科医の仕事だと思います。現在は、晩婚化が進んでおり、女性の加齢に伴う卵子の老化も問題になっています。男性に比べ、女性の妊娠可能な期間は短いのが現実です。
女性の社会進出が進んでおり、女性がキャリアを積む時期(キャリア形成期)と、女性の理想的な妊娠が可能である20~30代が重なっているのが現実です。
女性にとって、男性と同様にキャリア形成をして、いざ結婚、しかし卵子の老化により若いときに比べて妊娠がやや困難な時期になってしまうこともあります。こんな状況の下に、この年代は、仕事が忙しくて異常な症状があっても受診できない、あえて受診しないという現実もあり得ます。医院では、このような状況を踏まえて、この年代の女性に、妊娠可能な時期や卵子の老化などについても話し、良いライフプランを立てる必要性についてお話ししております。
今後もこういった内容をより充実させて、女性のサポートを続けていきたいと思っています。
【略歴】
1959年長野県生まれ。1984年金沢医科大学卒業。東京都立豊島病院、帝京大学附属病院を経て、1992~2001年長野赤十字病院産婦人科勤務。2001年より滝澤医院。2005年より同院院長。日本産科婦人科学会専門医。