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一般社団法人 日本家族計画協会

機関紙

2016年度(2017年更新)

2017年06月 公開

本会家族計画研究センター 2016年度 事業実績報告

「第8回男女の生活と意識に関する調査」実施、女性の健康相談事業多数

 2016年度はとにかく過密なスケジュールの日々が続いた。本紙で既報の通り、本会家族計画研究センター(以下、センター)では、二つの大規模調査①第8回男女の生活と意識に関する調査②第3回【ジェクス】ジャパン・セックスサーベイ2017―を実施したからだ。火曜日、金曜日、第2土曜日に開設している診療、各種電話相談、セミナーの企画運営、避妊教育などに熱心な全国の産婦人科医からなる避妊教育ネットワークの事務局業務、メディアでの発信、アドボカシー(政策提言)などなど、以下、16年度のセンターの一年間の活動をあらためて振り返ってみたい。
(本会理事長/家族計画研究センター所長 北村邦夫)



調査を終えるまでの裏話
 将来、調査を実施する読者のために、「第8回男女の生活と意識に関する調査」(以下、調査)を例に、実施するまでと調査を終えて報告に至るまでの裏話を紹介したい。
 「第7回調査」が行われたのが2014年9月のこと。報告が終わると、すぐに「第8回調査」に向けた準備が始まると言っても過言ではない。有効回答数が妥当か、妥当でないとしたら改善すべき点は何かを検討することと同時に、集計結果を踏まえ設問が適当であったか、次に向けて削除できる、あるいは追加すべき事項の検討などが始まる。
 「第8回調査」については、調査を委託している新情報センターとの細部にわたる具体的な調整作業が4月からスタートし、報告書作成までの日程表が確定するのが7月。層化二段無作為抽出法という調査手法を用いて、全国の満16~49歳の男女3千人を対象とした調査を実施するには市区町村の協力が不可欠である。市区町村の抽出には、地区分類、人口規模による市区町村の抽出、抽出された市区町村での住民基本台帳閲覧許可が必要となる。
 今回は、厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子保健課の協力を得て、市区町村に「この調査が、国民運動である『健やか親子21(第2次)』の推進に資する調査である」と付記された文書をお送りいただいたこともあって、いわゆる「拒否」の件数は例年より少なかったように思われる。有効回答数も、前回を上回ることができた(表1)。


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 この間に、住民基本台帳閲覧依頼文書の作成、発送、調査票の原案について倫理委員会からの承認を得た段階で確定し、印刷となる。その後、住民基本台帳から抽出された対象者宅への調査員による訪問、調査票を手渡した後、回収に伺うという訪問留置回収という厄介な作業が行われる。回収された調査票は細部にわたる点検が行われ、有効回答数が確定した後、入力作業となる。
 データが納入されると、センターでの過酷な集計・解析作業が待っている。単純集計、目的に応じたクロス集計、統計的解析、スライド作成、報告書づくりなどである。今回の場合、過去7回までの結果を一部対比させながら作成したスライドは195枚に及んだ。
 その後、メディア報告会を2月10日に開催。かつてセンターに取材に訪れた新聞社、テレビ局、インターネットメディアなど名刺を交換した関わりの深い記者と厚生労働記者会に所属する20社に向けて案内状を発出した。その結果、報告会には40人ほどが出席し、当日、日本テレビ「NEWS24」で放映され大反響となった。「センター業績等一覧」に示したように、国内外のメディアでの取り上げは過去最多となっている。
 特に、インターネットサイトである、英国の「ザ・ガーディアン」での記事には、5月8日現在、ツイート数3410件、コメント数1226件の反応があり、2か月以上経過した今もなお続いている。コメントは英文ではあるが一読する価値があるものが多い。蛇足であるが、このメディア報告会開催に伴う経費は、資料代に加えて飲み物代だけだから費用対効果は優れてよい。
 本調査結果については、外部からの強い要望もあり、「第8回男女の生活と意識に関する調査報告書2016年~日本人の性意識・性行動〜」のタイトルで、amazonで販売されており、過去7回分の調査報告書も収録されている。


インターネット調査のメリット・デメリット
 センターでは、ジェクス㈱からの委託を受けて、昨年10月に「第3回【ジェクス】ジャパン・セックスサーベイ2017」を実施した。12年、13年に引き続いて行ったもので、過去2回同様インターネットを通じて実施したものだ。調査対象者は全国満20歳から69歳の男女。㈱クロス・マーケティングに調査を依頼した。調査票配信数は5万件を超えるが、目的の一つを都道府県比較においたこともあって、47都道府県からそれぞれ107件ずつ、合計5029件の回答を集めることを目標とした。もちろん、これを集計しただけでは全国データとはなり得ないので、各都道府県から回収されたサンプルを、国勢調査の結果を踏まえ、各都道府県について、男女別10歳階級別の人口構成比に合わせて集計し直す作業が行われた。これをウエイトバック法という。これによって、大げさに言えば、20歳から69歳のわが国の人口8千万余人の性意識・性行動を明らかにしたことになる。
 これだけ大規模な調査ではあっても、調査期間はわずか4日間。調査票が配信されてから1週間もすると集計結果が返信されるという離れ業がインターネット調査の最大のメリットだ。アンケート依頼メールを各回答者に配信しWEB上で回答してもらうわけだから、調査票回収後の入力作業は省略できる。コストも、「男女の生活と意識に関する調査」の数分の1程度で済む。選択肢によって回答ルートを分岐させたり、選択されたものだけを表示させたりなど、多様な機能が使えるので、未回答、矛盾、回答ミスなどを最小限に抑えられる。そして何よりも、相当踏み込んだ問い掛けができるのもメリットとしては大きい。
 一方、デメリットもある。それはインターネットユーザーからの回答に限られるための偏り。インターネットを利用することが少ない職業や年齢層も存在するため、目的によっては、正確な調査結果につながらない可能性がある。回答が信頼に足るものかどうかも疑問だ。中には、虚偽の回答をする方がいないとは限らない。事実、回答者にはWEBショッピングなどで利用可能なポイントを付与することから、それだけを目的に登録している方もいるに違いない。
 某社会医学系の学会などでは、インターネット調査については論文を受理しないとの噂もある。とはいえ、総務省が発表した15年末の情報通信機器の普及状況を見ると、インターネット利用者数は、前年比28万人増加して1億46万人、人口普及率は83・0%となっている。もはやインターネット調査では一部の人の意見しか拾えないとは言えない時代になってきている。従って、調査に当たる場合には、インターネット調査の限界と可能性を知った上で、調査計画を立案する必要があるのは言うまでもない。


各種電話相談の実績
 現在、センターが開設している電話相談の名称、創設年、電話番号、開設日時、開設日数、16年度の相談件数、実施主体を表2にまとめた。


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 電話相談を担当している相談員は26人(うち「東京都 不妊・不育ホットライン」の相談員8人)だが、加えてセンター所長である筆者、杉村部長がスーパーバイザーとして参画している。相談員のバックグラウンドは、本会が養成している思春期保健相談士、国家資格を有する受胎調節実地指導員、助産師、看護師、不妊の当事者とさまざまである。さらに、実際の相談を受けていない無言、性的通話を含め相談員がいたずらと判断したもの、開設時間外に留守番電話が稼働したものがカウントされているが、それぞれ1363件、487件、2455件。
 16年度に受けた各種電話相談について、相談内容の上位を表3、表4に示した。


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 「思春期・FPホットライン」には男性1500件、女性534件の相談があったが、従来と同様、男性では「自慰」「包茎」「性器」「射精」が、女性では「緊急避妊」「妊娠不安」「ピル」などが上位を占めている。
 「東京都 不妊・不育ホットライン」は、毎週火曜日の相談となっている。3区分の相談内容のうち、第1位は「治療への迷い」、次いで「自分自身のこと」「夫とのこと」「病院への不満」「周囲との人間関係」などが続く。本会のホットラインが医療者というよりも不妊の当事者によるピアカウンセリングであることを反映した結果となっている。
 経口避妊薬(OC)を発売している3社からの委託で開設している電話相談には、合計3329件の相談が寄せられている。「服用方法」「飲み忘れた場合の対処」「避妊効果」がいずれの電話相談でも上位を占めている。本来であれば、処方施設で行われるべき服薬指導を本会の電話相談が担っていることになる。服用者の不安を払拭し、安心・安全にOCの服用を継続させるためには、服用者にとって最も身近な処方施設での指導が徹底される必要がある。そうすることが、わが国におけるOCの普及には不可欠ではないだろうか。
 子宮内黄体ホルモン放出システム(商品名「ミレーナ」)の相談事業を本会が受託したのが10年。当時は、避妊目的の使用に限られていたが、14年6月に効能追加となり、過多月経、月経困難症が加わった。これを反映してか、14年度からの相談件数が一挙に増え、16年度には467件に達している。相談内容としては、マイナートラブルに分類される「出血・不正出血」、その他「使用したいが施設を紹介してほしい」「画像検査に際して問題がないか」「性交渉への影響はないか」「具体的ではないが副作用への不安」「挿入時期はいつがいいか」などが目立っている(図1・表5)。「副作用関連」が分類されているが、ここに挙げたほとんどの項目は「マイナートラブル」に相当するものである。


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「SRHセミナー」の参加者総数1190人
 センターが中心となって企画運営しているセミナーの一つがSRHセミナー。12年度までは「指導者のための避妊と性感染症予防セミナー」として親しまれてきた。SRH(セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス)の課題である恋愛・性交・避妊・妊娠・中絶・性感染症・出産・不妊・育児と幅広い分野にわたるテーマを軸に、131~138回のセミナーを全国で開催した。テーマは「性の健康教育の実践~聴衆の心を掴む私の工夫~」。参加者は1190人を数えている。
 本セミナー開催のきっかけは、わが国におけるOCの承認が決定した1999年。その年の7月に第1回目のセミナーが行われて以来、参加者総数は2万人を超えている。なお、2016年度の本セミナーは、(公社)日本助産師会の後援、ジェクス㈱からは事業協賛、あすか製薬㈱、MSD㈱、科研製薬㈱、バイエル薬品㈱、富士製薬工業㈱、持田製薬㈱からは広告・展示協賛を得て実施した。本紙を借りて感謝したい。

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