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一般社団法人 日本家族計画協会

機関紙

2002年度(2003年更新)

2009年06月 公開
 二〇〇二年度の本会クリニック事業も順調に進んだ。厚生労働科学研究班の一環として実施した「男女の生活と意識に関する調査」は、今後のわが国の母子保健対策の在り方を探る貴重な資料を提供した(本紙5月号で既報)。昨年7月にコクヨホールで開催した「第一線の産婦人科医に役立つ緊急避妊実践セミナー」は、フランスから専門家を招き、百名を超えるわが国の実地臨床医を集めた画期的なものとなった。緊急避妊ネットワーク加入者は既に一五〇〇施設に及んでいる。
 「避妊と性感染症予防のためのスキルアップセミナー」は大阪、東京、札幌、盛岡、新潟、福岡、岡山、名古屋の八カ所で開催し総勢千八百人が受講した。「米国の禁欲主義教育を考える」メディアセミナー、(1月)、不妊相談セミナー(2月)、各種性教育ビデオの制作・監修など、電話相談、診療というクリニック本来の事業に留まらない多彩な事業展開を進めている本会クリニックの二〇〇二年度の活動を一挙に紹介しよう。

(本会クリニック所長・北村邦夫)

活気に満ちた「ピルと緊急避妊」外来

北村所長

 第55回日本産科婦人科学会(福岡)では演題発表の機会を得た。テーマは「緊急避妊法の有用性と作用機序に関する研究」。本年3月末までに、緊急避妊を求めてクリニックを訪れた女性は565人。〇二年度は89人が受診している。
 全体では20~24歳が48・0%(〇二年度50・6%)と最も多く、次いで19歳以下22・3%(15・7%)となっている。35歳以上の女性も28人(5人)おり、妊娠経験を有する女性の場合には、ほとんどが銅付加子宮内避妊具を緊急避妊目的で挿入することが一般的となっている。
 緊急避妊を必要とした理由は、コンドームの破損、避妊せず、コンドームの脱落の順(図1)。緊急避妊ピルを服用し、結果が判明した者は385人(68・1%)であったが、妊娠率は2・5%にとどまっている。副作用の訴えは「ない」が44・0%あるものの、悪心(50・1%)、嘔吐(15・4%)、腹痛(3・6%)などであった。興味深いのは、その後の避妊法が判明した者のうち、60・9%が低用量ピルを採用していることである。
 私たちは理性を有する動物であるが、失敗がかけがえのない経験となって、行動変容を起こさせるのだと実感させる緊急避妊法。これが、近い将来、わが国の人工妊娠中絶数を激減させる原動力になる可能性を否定できない。
 近々、レボノルゲストレル単独剤を緊急避妊目的で使用するための臨床試験が開始される予定となっており、当クリニックでも治験実施施設としての役割を果たしていくこととなっている。

図1 緊急避妊、その使用理由
表1 ピル関連電話相談(相談内容)


ピル服用前の性経験は少なく

 低用量経口避妊薬(ピル)が発売されたのは九九年9月。以来本年3月までに3年7か月が経過したが、この間、当クリニックでピルを処方した女性の数は460人。〇二年度1年間では160人を数えている。九九年89人、〇〇年70人、〇一年141人と推移しており、明らかな増加傾向を示している。ここでは、この4年間を集計分析した。
1、服用者の年齢分布
 全体では20~24歳が最も多く47・2%(〇二年度48・8%)、次いで19歳以下24・3%(23・8%)、25~29歳21・7%(19・4%)の順。若い世代が集まるクリニックではあるが、30歳以上の女性も6・7%(8・1%)となっている。
2、ピル服用者の相手は年上
 相手の年齢をみると、全体では20~24歳が最も多く38・5%(〇二年度42・5%)、次いで25~29歳19・1%(18・8%)19歳以下12・9%(10・6%)、30歳以上の18・0%(17・5%)、不明11・5%(10・6%)となっており、ピル服用者は年上の相手との付き合いとなっているようだ。
3、緊急避妊からピル服用へ
 ピルを服用するきっかけを尋ねると、緊急避妊が32.6%(〇二年度30・6%)とトップ、次いで医療機関の勧め18・7%(13・8%)、雑誌・本15・7%(8・8%)、学校、友人と続く。〇二年度発刊した拙著「ピル」(集英社新書)を読んでという者も6・3%いた。

中絶経験、しかし避妊行動は変わらず

6、中絶経験者は12・6%
 既報の「男女の生活と意識に関する調査」によれば、人工妊娠中絶の経験者は17・2%であったが、当クリニックでピルを服用した女性の場合、中絶経験者は12・6%(〇二年度10・0%)に過ぎなかった。この結果からは、中絶を経験したことを契機にピルの服用を開始したと読むことはできない。
 中絶を繰り返している女性は、前述の調査からも33%いることが明らかとなっているが、避妊行動を変えるまでの経験になっていないのは残念なことだ。
7、服用開始直後の副作用の訴えは減少
 ピル服用後1か月以内での副作用の有無を尋ねると、「なかった」が55・9%(〇二年度60・6%)であり、その割合が増加している。副作用については(複数回答)悪心18・0%(15・0%)、不正出血8・7%(8・1%)、乳房緊満感6・5%(6・3%)などであった。乳房緊満感を訴える者の中には、「大きくなって嬉しい」など微妙な女心を窺い知る事例もある。
8、継続率は64・6%
 〇三年3月末時点で、カルテを整理した所、ピルの服用を開始した女性のうち、現在も服用を継続している女性は64・6%であることが判明した。彼と別れてピル服用の必要がなくなったなど中断した者が5・0%(〇二年度0・6%)、理由もなく再診しなかった者が30・4%(13・8%)。継続率を年度毎にみると、九九年度50・6%、〇〇年度45・7%、〇一年度58・9%、〇二年度85・6%という結果であった。

「ピルダイヤル」等ピル関連の相談は四六九四件

 当クリニックでは、「ピルダイヤル」などピル関連の電話相談窓口を開設しているが、〇二年度の相談件数は4千694件(男性67、女性4千622、性別不明5)であった。結婚の有無で見ると、未婚が最も多く71・0%、既婚28・3%などとなっている。
 地域としては東京29・3%、神奈川9・2%、千葉6・5%、埼玉5・4%、その他49・6%。年齢では20~24歳が29・8%、25~29歳25・4%、30歳以上34・0%、19歳以下9・4%、年齢不詳1・4%の順。
 情報源は、医療機関で配布されたリーフレットからが第一位で50・6%、次いで本・雑誌17・3%、友人2・6%など。ピル服用中の者が53・3%いるが、服用を希望しているも7・4%いた。
 相談内容を表1に示したが、服用開始をあくまでも5日と指導する、飲み忘れの対処法を教えられていない、下痢や嘔吐した場合の飲み方指導などの不備、他の薬剤との併用をどうするか等、本来ピルを処方する施設で行われるはずの指導ができていないがための悩みが尽きない。
 また、緊急避妊についても利用者は、インターネットなどを通じて国際的な情報を容易に得ていることが多い。しかし、実際に処方された医師あるいは医療従事者の勉強不足によって、現場で混乱が起こっていることが少なくない。最新の医学情報を積極的に入手する努力を怠りなく行っていく必要があろう。

東京都不妊ホットラインは六七九一件

 「少子化社会対策基本法(案)」が国会で審議されている。この法律案には、少子化対策の一環として「不妊治療」の推進を挙げているものの、前文には「子どもを生み育てる者が真に誇りと喜びを感じることのできる社会を実現し、少子化の進展に歯止めをかけること」などの表現があり、女性団体などを中心に物議を醸している。
 本会も、慎重な審議を求めた要望書を提出している。この中で、当クリニックが開設している東京都・不妊ホットラインに触れ、次のように指摘している。
 「私たちの協会では、活動の一環として不妊の当事者による不妊相談を行っています。その活動を通して痛感するのは、子どもを産めない人を25一人前26とみなさない社会の価値観が、いかに不妊の当事者を苦しめているかということです。その実情を考えますと、本法案の不妊治療に関する条項(第13条2項)は、その苦しみを増すことにつながるのではないかとの危惧を覚えます。不妊の人への支援は、イコール不妊治療の支援ではありません。不妊治療を、出生増加を意図した少子化対策の手段として利用してはならないと考えます」

表2 東京都不妊ホットライン相談内容(各項目から一つ以上は選ばず)


相談者の年齢をみると30~34歳が最も多く

 九九年度からスタートした東京都・不妊ホットラインは、当初から注目を集め、毎週火曜日ともなると10時を待ち焦がれた女性からの相談が集中している。
 二〇〇二年5月には、世界不妊月間の企画として「不妊特別電話相談」を開設し、179件の相談を受けている。以下、7年間の東京都・不妊ホットラインを概観しよう。
1、10時を待ち焦がれて
 毎週火曜日の10時から16時まで開設している不妊ホットライン。相談が集中するのは、10時台が最も多く22・8%(〇二年度22・1%)、13時台18・7%(17・5%)、14時台17・5%(17・6%)、15時台17・1%(16・8%)、11時台17・1%(15・5%)の順。
2、30~34歳からの相談が最多
 相談者の年齢は30~34歳が38・1%(〇二年度34・0%)、35~39歳22・6%(26・2%)、25~29歳22・6%(15・5%)となっている。
 〇二年度の際立った特徴は、40歳以上の相談が18・7%と急増したことである。九六年度3・3%、九七年度6・9%、九八年度7・1%、九九年度8・8%、〇〇年度8・3%、〇一年度10・9%からも明らかである。晩婚化の進行や高年齢者に対する高度生殖医療などが影響しているのだろうか。

治療への迷い、不妊への不安

3、不妊ホットラインを知るきかっけ
 九六年度当初は「新聞」(63・0%)が圧倒していたが、九八年度からは「本・雑誌」が54・1%と「新聞」(25・9%)を逆転し、九九年度62・8%、〇〇年度70・9%、〇一年度67・2%と定着していた。〇二年度には、特別相談についての新聞報道や不妊特集記事で不妊ホットラインが紹介されたことなどもあって、「新聞」が30・2%と再度増加した。
4、相談内容の中心は、治療への迷い、不妊への不安など不妊ホットラインは東京都から委託された不妊専門相談センターとして開設している電話相談であるが、「不妊治療中」は59・3%(〇二年度58・9%)と毎年6割程度に留まっている。
 一方「治療していない」は32・1%(27・9%)。〇二年度には「通院を検討中」が12・2%と増加している。このように、不妊に悩む人たちが常に治療しているわけでも、検査や医療に悩んでいるわけではないことは、これらの結果が物語っている(表2)。

女性のための健康ホットライン

 生涯を通じた女性の健康支援事業の一環として東京都から委託されて行っている電話相談(〇三年度から「女性のための健康ホットライン」と名称変更の予定)には、〇二年度5千651件(男性3千522、女性2千129)の相談が寄せられた。
1、相談者の年齢分布のうち、最多年齢は、図2のように男性では15~19歳で64・0%、女性は20~24歳で30・6%。
2、情報源は男女ともに「インターネット」
 この電話相談をどこで知ったかを問いかけると、男性では「インターネット」24・5%、「友人」21・3%、「本・雑誌」14・5%の順。女性では「インターネット」36・0%、「本・雑誌」23・1%、「学校」7・9%。時代を反映してか、インターネットから電話相談の存在を知ったという男女が多い。
 しかも、興味深いのは「インターネット」との回答が女性に高く、その理由は、緊急避妊相談をインターネットから知ったという女性が61・0%もいることである。
3、相談内容、男性は「包茎」、女性は「緊急避妊」
 ここ数年、定着した感のある相談。男性は変わらず「包茎」がトップで20・3%、「自慰」「射精」「性器」と続く。女性は「緊急避妊」が群を抜いており41・3%、次いで「月経」「STD」「病院」の順。これを年齢との関係でみると、表のように、世代によって抱えている問題が多様であることが分かる。
 なお、この電話相談には、〇二年度だけでも無言が2千752件、イタズラと思われるものが635件、留守番電話が3千223件あった。

図2 東京都「女性のための健康ホットライン」


〇二年度には二六五九人が訪れ

 思春期外来を銘打っている当クリニックには、〇二年度2千659人が訪れている。その内訳は、婦人科2千583人、泌尿器科54人、精神科22人。泌尿器科には「手術をしない明るい包茎外来」に親子が連れ立ってやって来る。精神科は単独の患者というよりも、摂食障害などによる無月経で婦人科に来院している精神科的フォローの場として機能している。
 当クリニックで受診し、初めて診療録を作成した343名の主訴には、緊急避妊26・8%、避妊22・4%など、避妊に関するものが中心を占め、次いで無月経12・8%、月経異常12・2%などが挙げられている。

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