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一般社団法人 日本家族計画協会

機関紙

2004年度(2005年更新)

2009年06月 公開

 本会クリニックに関係したスタッフは常勤2名(所長である筆者と事務系職員)、非常勤には精神科医、泌尿器科医が各1名、助産師を中心とした看護系職員28名、不妊の当事者8名である。保健会館新館の2階においては診療、各種電話相談、面接相談、厚生労働省と東京都からの委託事業が、外に向けては指導者を対象としたセミナーの開催、性の健康教育、メディア対応、各種審議会・委員会への出席、研究活動などが行われている。今号では筆者の活動などを踏まえ、平成16年度に取り組んできた主なる活動を紹介することとしたい。(本会常務理事・クリニック所長 北村邦夫)

表1 年齢階級別に見た受診目的
表2 性別・職業別にみた相談内容

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避妊・性感染症のセミナーを全国で開催

 昨年度も、7月の大阪を皮切りに那覇、仙台、札幌、福岡、広島、名古屋、東京で「明日から役立つ、避妊と性感染症予防のための実践セミナー」が開催された。特に、今回は「教えるを学ぶ」ということで、総論的な意味合いもあって、日本ヘルスサイエンスセンターの石川雄一、本松茂両先生からの講義が組まれた。健康学習の提唱者だけあって、聴衆とともに作る参加型セミナーに大きな反響があった。
 依然として承認の目途が立っていないが、全国千500施設が登録している「緊急避妊処方施設ネットワーク」。後述するように、本クリニックが行っている電話相談の中では相談件数が常に上位にある「緊急避妊」。処方施設の医師を対象とした「第一線の産婦人科医のための緊急避妊実践セミナー」には140名が参加した。
 米国からは、避妊関連の疫学調査の第一人者であるジェームズ・トラッセル先生とフランスからRU486の開発などに取り組んだHRA社のアンドレ・ウルマン先生を迎えることができた。私たちが日頃、各種避妊法の妊娠率のデータを引用することがあるが、これはトラッセル先生の研究業績の一つでもある。
 その他、厚生労働科学研究班の研究結果を踏まえた、「親子コミュニケーション・スキルアップセミナー」の開催なども注目を集めた。

OC啓発プログラムと医師向けセミナー

 平成16年6月、女性のリプロダクティブ・ヘルス推進会議(仮称)の開催を契機に低用量経口避妊薬(OC)推進プログラム委員会が設立され、9月には全国36カ所の産婦人科施設の協力を得てパイロット研究を実施した。
 一九九九年9月にOCが発売されてから5年が経過しているが、依然として根強い副作用への偏見や誤解もあって、生殖可能年齢人口における普及率は1%前後にとどまっている。そのような状況に業を煮やした婦人科医6名が集まって、OC推進プログラム推進委員会を発足させ、OC処方に関するベスト・プラクティスマニュアルを作成した。
 さらに、マニュアルの信頼性を知る目的で、全国36施設の協力を得てパイロット研究を実施。避妊以外の目的で婦人科を訪れた女性でも65%がOCの服用を開始するという驚くべき結果を得た。
 委員会が開発・制作した、マニュアル、問診表、服用指導箋などをもとに、平成17年3月には都市センターホテル(東京)において「第一線の婦人科医とコメディカルのためのOC啓発セミナー」を開催した。
 このセミナーでは「OCの最新情報」というテーマで武谷雄二東京大学教授の講演などもあり参加者からの高い評価を得た。その後、平成17年度には、東京、大阪、仙台、新潟、札幌、福岡、広島、名古屋で順次開催していくこととしている。
 また、産婦人科医による「避妊教育」の効果的な進め方を探るために、全国25施設の医師による「避妊教育ネットワーク」を構築、メーリングリストでの資料提供などに協力している。

男女間のコミュニケーション・スキルを研究

 厚生労働科学研究(子ども家庭総合研究事業)「望まない妊娠、人工妊娠中絶を防止するための効果的な避妊教育プログラムの開発に関する研究」が自治医科大学名誉教授である佐藤郁夫先生を主任として3年計画で進められてきたが、平成16年度は最終研究年として取りまとめに尽力した。
 本会クリニックが担当したのは「男女間のコミュニケーション・スキルの向上に関する研究」(分担研究者北村邦夫)。「第2回男女の生活と意識に関する調査」「男女間のコミュニケーション・スキルの向上に関する研究」「若者の性行動と今後期待される性教育」「20歳未満の人工妊娠中絶実施率減少要因に関する研究」「男女間のコミュニケーション・スキルはどう高められるか」「知的しょうがい者へのセクシュアリティ支援」などの論文をまとめ報告した。
 これらの研究成果は、既に各種メディアで大々的に取り上げられ、議論を呼んでいるのは周知のことである。
 

受診総数約2千5百人

 本会クリニックでは電話相談として、毎週月曜日の10時から16時まで「思春期・FPホットライン」「東京都・女性のための健康ホットライン」「ピルダイヤル」「ピルサポートデスク」「OCサポートコール」を、火曜日のみ「東京都・不妊ホットライン」を開設して、サービスに当たってきた。
 電話相談総件数は一年間で1万974件にも及んだ。その陰には、無言電話、イタズラ電話、留守番電話などほぼ同件数のアクセスがあった。昨年度は、経口避妊薬(ピル)関連の電話相談として「ピルダイヤル」「ピルサポートデスク」を、本年2月からは「OCサポートコール」を進めてきたが、この3つの相談件数だけで4千89件を数えている。
 わが国に先駆けて一九八四年に創設した思春期婦人科外来は、毎週火曜日、金曜日、第二土曜日の開設となっているが、患者動向などをみると、既に「思春期」外来のイメージは薄くなっている。緊急避妊、OC処方、避妊相談などが大々的に行われる中、受診者の年齢層は自ずと高まっている。昨年度一年間の受診者総数は2千447人だった。
 表1には、当クリニックで初めてカルテを作成した292名の年齢階級別と主訴との関係をまとめた。
 

思春期の電話相談は夏休みに集中する

 一九八二年創設以来、わが国でこれほどまでに定着した思春期の子ども達を対象とした電話相談があるだろうか。十分な広報活動が行われているとはいえないが、それでも、一台の受信機はフル稼働状態となっている。
 ちなみに、昨年度を例にすると、相談表に記入できたもの、すなわち相談を受けられたものは6千239件(男性4千362件、女性千877件)、無言3千114件、相談員がイタズラと判断したもの490件、開設時間外のアクセス数が2千724件となっている、一台で1万2千567件受信していることになる。
 個々の相談票を集計・分析すると、性別では男性が女性の2・3倍と、男性優位の傾向が一段と強まっている。月別には、全体として夏期休暇と一致してか7月、8月が多く、とりわけ男性からの相談が女性の3倍を超えている。
 相談者の年齢分布にも男女差が顕著であり、5歳階級別にみたピークは男女ともに15~19歳ではあるが、男性では全体の70・7%を数え、女性は23・3%にとどまっている(5面下図)。その年齢層を反映してか90・4%は未婚者からの相談であるが、既婚者からの相談の割合は男性の1・1%、女性の26・1%という結果であった。
 相談者の住所地は、従来同様、東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県の首都圏からが73・1%を占めるが、「その他」も男性で22・2%、女性で29・5%あった。

 「あなた(あるいは、あなたの相手)が、最初の人工妊娠中絶手術を受けることを決めた理由は何ですか」との問いに対して、女性の場合最も多かったのが、「相手と結婚していないので、産めない」(22・1%、男性20・6%)、男性では「経済的な余裕がない」(31・7%、女性17・2%)であった。男女ともに未婚であるがゆえの社会的経済的規範を踏まえ中絶を選択していることが明らかとなった。
 また、最初の人工妊娠中絶手術を受けることを決定したときに、「胎児に対して申し訳ない気持ち」を抱く女性が55・9%(男性27・0%)と高く、女性では「自分を責める気持ち」(15・2%、男性9・5%)、男性は「自分の人生において必要な選択である」(11・1%、女性11・7%)が続いた。このような予期しない事態を招く以前の予防的措置として、確実な避妊法選択への行動を図って欲しいものだ。

受付開始直後は「緊急避妊」が多い

 相談時間帯には興味深い結果が出ている。6時間にわたる電話相談にあって、10時台の相談割合が19・3%となっているが、この割合を超える相談内容は、トップが「緊急避妊法の処方施設を求める相談」で30・2%と他を圧倒している。以下、「性感染症」(26・4%)、「不妊」(24・1%)、「男女交際」(23・2%)と続く。緊急避妊の必要性を感じた女性が、待っていましたとばかりに、10時からの相談の受付を待つ姿が見える。
 この電話相談の存在を知る手段としては、インターネットが33・4%と最多となっている。ついで、友人17・4%、本/雑誌10・4%であるが、性別、年齢別には以下のような結果となっている。
 男性の場合、インターネットを情報源とする年齢は「20~24歳」が39・8%でトップ、学校については「10~14歳」が29・8%、学校についても「10~14歳」が19・7%と高い。インターネットを情報源とする割合は男性よりも女性に多く34・4%。中でも「20~24歳」が54・1%と高い。
 相談時間は、5分未満が53・4%、5~9分が35・7%で、10分未満が全体の9割を超える。男性では「包茎」相談は5分未満が69・0%を占めている。「皮かぶりは包茎、剥ければオーケー」で済んでしまうという意味だ。だらだらと長い相談が問題の解決に役立つとは限らない。
 表2は男女別、職業別相談内容についてまとめたが、従来と同様、男性は自慰、包茎、射精、性器の順、女性では緊急避妊、病気、月経という具合に、十年一日のような電話相談が展開されている。

東京都・女性のための健康ホットライン

 新たにTEL:03-3269-7700を「東京都・女性のための健康ホットライン」として開設したが、相談件数は489件(男性19件、女性470件)であった。広報啓発は東京都が都民向けに行っている「都民ニュース」などであるが、まだまだ周知には時間がかかりそうだ。
このような情報源を反映してか、「家事専業」(41・7%)、「社会人」(30・5%)となっており、「思春期・FPホットライン」が「高校生」が35・9%となっているのとは大きな違いである。そのためか、相談内容のトップは広く「病気」が23・0%、「精神、心」11・7%となっていることも特徴である。

「不妊」の電話相談件数は伸び悩み

 昨年度一年間の「東京都・不妊ホットライン」の相談件数は715件とやや低調である。1997年1月に華々しくスタートした電話相談であるが、九六年度282件、九七年度946件、九八年度千65件、九九年度千127件、二〇〇〇年度千176件、〇一年度千44件、〇二年度千152件、〇三年度768件となっている。
 周知をするチャンスがやや減少していることなどが影響しているものと思われる。そのため、リピーターが3割近くを占めるという結果となっている。
 性別には女性からの相談が93・3%と男性を遙かに凌いでおり、不妊が女性の問題となっていることを浮き彫りしている。家事専業からの相談が56・6%と高率である一方、フルタイムが13・7%に過ぎないことも特徴で、不妊治療などを必要とする場合、治療そのものが「仕事」になりかねないということだろうか。

目立つ「治療への迷い」

 この電話相談は、「本/雑誌」を情報源とする割合が42・4%と高く、「インターネット」(17・6%)、「新聞」(15・5%)と続いている。
 相談内容をみると、「知りたいこと」「治療について」「治療外のこと」から、該当する相談項目を選んだ場合、一番目立つのが「治療への迷い」(20・6%)、「(不妊である)自分自身のことを悩む」(17・2%)、「不妊への不安」(13・0%)。「病院への不満」(12・6%)、「夫とのこと」(9・7%)、「病院情報」(9・4%)、「体外受精」(8・1%)など。従来と大きな変化が認められない。
 毎日新聞社のホームページでは『Dr北村 ただ今診察中』を連載中であるが、昨年度は第1話から第51話まで提供した。「学校ホーラム」では「子どもの性」を担当、第12話が完了している。季刊セクシュアリティでは「外来で見る現代っ子の性」を連載中である。

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