3月、卒業シーズンを迎え、ちょうど一年前の娘の小学校の卒業式を思い出した。保護者席でカメラを構える姿はずいぶんと減って、スマートフォンで撮影している人が圧倒的に増えた。友達や、先生と撮影し、その場でデータを交換し合っている姿を見ながら、私自身の小学校の卒業のときに流行っていた、自分の名前や好きなものなどを書いてメッセージカードを交換し合ったことがずいぶん遠いことのように思えたものである。
スマートフォンが一般に販売されはじめて、20年近く経過し、今や1人1台、会社と私用で1人2台を持つ人もいるそうだ。皆さまご存じのとおり、電話機能やメール機能だけでなく、財布や切符の代わり、ゲーム、音楽視聴や調べもの、メモ帳や、時に日記帳としてなど、スマートフォンで生活のあらゆることができるようになった。全員とまでは行かないが、小中学生でもSNSなどを駆使して、双方向にやりとりしている子どもたちも増えている。高校生の頃に通話しかできないPHSを親に購入してもらい喜んでいた自分が微笑ましく懐かしい。
親世代も子どもの習い事や学校のPTA役員等で、SNSの利便性を享受する反面、自分が知らないところで個別グループが作られていたり、ママ友からは所属グループから気づかぬうちに強制的に退会させられたり、といったアナログの時代にはなかったトラブルに戸惑う声を最近耳にした。
子どもたちには、情報化社会となった昨今の文明の利器のメリットのみを伝えていくだけでなく、使い方次第では事件・事故に巻き込まれてしまうデメリットもきちんと教えていくよう言われて久しいが、大人とて新しい道具に振り回されないよう謙虚に付き合わねばと改めて思うのであった。
(小山 理恵子)