「失敗することを恐れるよりも真剣でないことを恐れたほうがいい」
「どんな小さな事にでも生命をかけて真剣にやらなければならない」
パナソニックの創業者である松下幸之助が連載していた短文には、「真剣」という言葉が数回出てくる。想像がつくだろうが、真剣の語源は、木刀や竹刀でなく刀剣を使った命懸けの勝負からきている。この言葉は、私自身の仕事観を見直すきっかけになったのはもちろんのこと、それ以上に子育て観について考える良い機会となった。
子どもは、走り回るのも、お絵かきするのも、おままごとするのも全てにおいて真剣だ。時には転んだりして失敗もするが、それを恐れずに遊ぶ―まさに松下幸之助の考えの一番の体現者かもしれない。
先日、6歳の長女と遊んでいるときに「危ないよ!」と注意をしたら、「パパはいつもそう言う!」と言って遊ぶのをやめてしまったことがあった。私にとっては、ただ「遊び」が危なくならないように助言したつもりだが、子どもからすると命を懸けて真剣に遊んでいたのを邪魔されたに違いない。まずは親が失敗を恐れずに一緒に真剣になれば良かったなと、先人と次代からの教えを痛感した日となった。 (堀慎也)