ニュースでヤングケアラーの特集を観て、自分の学生時代を思い出した。19歳の時に病気で父を亡くし、その後母も病気になって入院していた当時の私や妹たちは、現在でいうヤングケアラーであったかもしれない。
大学生であった私は、入院先に毎日のように足を運んで主治医の話を聞き、高校生の妹は買い出しや掃除・洗濯、中学生の妹は料理と、家事を分担して生活していた。
長年のケアのために通学や進学・就職に影響が出たり、心の病気になってしまったりする方もいることを、先ほどの特集で初めて知った。私たちは三姉妹であったし、母も長期入院にはなったものの無事退院できたため、何とか乗り切ることができたが、これが私一人だったら…もし母が退院できていなかったら…と思うと、私たちとてどうなっていたか分からない。
ヤングケアラーという問題に直面している子どもは誰に相談したらいいか分からない場合が多く、助けを求めにくい傾向にあるらしい。そればかりか、自身が援助の対象者であることさえ気づかず、一人でもがいていることが多いと聞く。当時を思い返しても、声をかけたりしてくれる大人が一人でも多くいたら、もっと違った時間の流れ方をしたのではと考えてしまう。
こんな時代にお節介かもと躊躇してしまうかもしれないが、ヤングケアラーで悩んでいる子どもがいたら、「あなたのことを見ているよ」「心配しているよ」と伝えてほしいと願う。それだけで、苦しんでいる子どもは救われるかもしれないし、福祉などの支援につながるきっかけになる可能性もある。それが子どもたちの希望を見出し、将来の夢へとつながっていくはずであると私は思う。 (小山理恵子)