4月からHPVワクチンの定期接種積極的勧奨再開と、キャッチアップ接種(対象年齢拡大)が始まった。続いて定期接種の機会を逸し、自費で接種した人に対する償還払いも開始された。ワクチンへの否定的な声が高まる中、自ら決断し行動した方の経済的負担が解消され、接種を勧めた者として安堵した。
時を同じくして本年度の「指導者のための避妊と性感染症予防セミナー(SRHセミナー)」がスタートした。テーマは「女性活躍を応援する」。とはいうものの何をもって「活躍」か、準備を進めながらも迷いが消えずにいた。6月の第1回目となる仙台会場(通算179回)で登壇した、国連人口基金東京事務所長の佐藤摩利子氏は秋田県出身。父親から「教育いらね。おなごになにでぎるって」と言われるまま、短大卒業後勤めに出たが、反発心が原動力となり奨学金で留学。勉強と出会いと失敗と経験を重ね現在に至っている。今では田舎の頑固親父に感謝しているという佐藤氏のヒストリーに触れ、周りに流されずなりたい自分に向かって努力する様が「活躍」している姿と映るのだと気付き、それを伝えることにした。
本稿執筆中に、嬰児遺棄で20代の女性が逮捕との報道がまたあった。彼女たちにも思い描いた未来があったはずだ。活躍から遠ざかってしまった今何を思うのか。SRHを啓発することを生業とする私がすべきことはまだたくさんありそうだ。 (杉村由香理)