悪あがきしたい-最近、サッカー元日本代表の本田圭佑選手が9か国目となる国でのプロサッカーリーグへ移籍した際に発言した言葉である。彼はワールドカップで日本優勝を夢見るも果たせずに代表を引退し、また、東京オリンピックのサッカー代表に選ばれることも残念ながらなかった。サッカーを辞めることも考えたそうだが、今は「世界の一部リーグでプレーした数」かつ「プレーしてゴールを決めた数」の世界一を目標にして頑張っている。
悪あがきという言葉の意味は「しても無駄なのに、あせって甲斐のないことをすること」だそうだ。ただ、彼がどのような意図でその言葉を使ったかは分からないが、「悪あがきしたい」と発言をした彼の表情からは、とてもそのような意味でなく、私の心の中では「いつまでも諦めないで挑戦してみること」と変換されていた。
年齢を重ねると、効率や経験値から導かれる、予め予想できる答え、という名の妥協が頭の中を常にちらつき、見えない答えに向かって挑戦することが段々怖くなってくる。そんな私に1歳しか年齢が変わらない彼は、いつまでたっても諦めずに挑戦することの大切さをこの移籍で教えてくれた。
先日、私の4歳になる娘がスイミングの進級テストで、止まりながらも小さな体で見事に25メートルを泳ぎ切った。同世代、次世代の二人に負けないよう私も、「悪あがき」をしていきたい。 (堀慎也)