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海外情報クリップ

緊急避妊薬の使用理由

第850号

必要な時だけに使う避妊薬

 米国のグットマッカー研究所が途上国52か国で調査した結果によれば、効果の高い避妊薬(ピル、IUDなど)を使用していない理由は、入手できない、価格が高いなどではなく、女性のニーズに合わないからだと報告しています。
 米エモリー大学公衆衛生学部の研究者らは、この背景には性交渉の時だけの避妊、つまりオンデマンドの避妊法として緊急避妊薬(以下、ECP)が使用されていると想定し、2023年までのECPに関する文献約30件をレビューしました。北南米から6件、東南アジア4件、アフリカ16件、その他4件です。その結果、ECPを頻繁に使用していたのは若年層(15~34歳)で学歴が高く、性交渉をする機会が多くない女性であることが分かりました。
 具体的に女性の声を聞くと、「彼と私は定期的に会う機会がなくピルを飲み続けるのは無駄だと感じる、ECPを必要な時に使っています」(インド)、「ECPを使うのには全く抵抗がない。私の性生活パターンにピッタリです。必要のないときは買わない」(米国)、「性交渉をする機会は予想がつかず突然来ます。だからいつもECPを携帯するようにしています」(ガーナ)との声がありました。とりわけアフリカ諸国では、パートナーにコンドームの使用を強く要求できない、相手の腟外射精に頼れない、その時だけ使用するECPは飲み忘れがないなどの理由が多く、またインドでは、社会的規範の関係から避妊薬を使用していることを隠す傾向があり、その点ECPは1回使うだけなので、購入時に包装を店で廃棄してしまうのに都合がいいという意見がありました。
 ECPはあくまで性交後のバックアップ避妊薬として導入されましたが、これとは別に、女性が積極的・主体的にオンデマンドで使用できる避妊薬があれば、避妊の選択肢を増やして、より多くの女性のニーズに答えることができるのではないかと著者らは期待しています。

参考 Bell S, et al. Reproductive Health 2024. 21;93

(翻訳・編集=オブジン)



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