子宮内膜症患者の痛みの管理―英国
英国の子宮内膜症再発予防研究より
子宮内膜症の保存手術はたびたび術後の再発を伴うことが多く、英国スコットランドの報告によれば患者の約6割が再手術。しかも、約4割は2回以上の再手術を受けています。内膜症患者は下腹部の痛みに常に悩まされており、英国の国立医療技術評価機構(NICE)は、痛みを緩和するために術後のピルあるいは長期作用型プロゲステロンなどの使用を推奨しています。前者は毎日服用しますが後者はその必要がないのが特徴です。
実地臨床におけるこれらの効果を比較するため、術後子宮内膜症患者(平均年齢29歳)の症状再燃の予防を目的とした多施設・前向き研究が実施されました。ピル(試験開始時200人)はレボノルゲストレル150㎍+エチニル・エストラジオール30mg、長期作用型ホルモン剤(同205人)はさらに2種類に分けられ、IUS(レボノルゲストレル20㎍/日放出する子宮内システム)またはデポ・メドロキシプロゲステロンアセテート150㎎注射剤(毎3か月)のいずれかを医師のアドバイスで患者自身が選択し、治療開始から1年、2年、3年ごとに痛みの程度を子宮内膜症ヘルスプロファイル疼痛スコアで評価しました。スコアは「痛み無し(0)」から「想像を超えるような痛み(100)」で低いほど改善効果は高いと評価されます。
結果を見ると、ピル群のスコアは開始時の55.8から3年後の32.9へ減少、長期作用型ホルモン剤は56.6から32.9へ減少、どちらも1~2年後にかけて改善して効果は3年まで持続し、どの治療法でも大差はありませんでした。使用継続率は、ピルの場合は1年後に48%、3年後は25%に減少、長期作用型ホルモン剤全体で1年後に約56%、3年後に注射剤は30%、IUSは46%と高く、これは抜去処置で受診が必要であることを反映しています。使用中止の理由は、患者個人の事情や症状の改善などでした。有害事象は29人に報告されましたが薬剤との関連性はありませんでした。
参考 Cooper K, et al. BMJ 2024;385
(翻訳・編集=オブジン)