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海外情報クリップ

【海外情報クリップ】
婦人科がんサバイバーのセクシュアリティー―ノルウェー

第844号

看護師によるフォローアップケア

 婦人科がん治療後の女性にとって、生活の質を維持することは重要です。その一つである「性生活にどう対処するべきか?」自身の身体機能やイメージ、あるいはパートナーとの性的親密度など、身体、精神、社会から見た負の影響が以前から指摘されています。ノルウェーでは、この問題に取り組むため国内の5つの病院で、ある試みが実施されました。
 ここではまず、選ばれた看護師が、患者目線で性の対話ができるための訓練を受け、次に退院患者のフォローアップの一部を主治医から引き継ぎ、セクシュアリティー全般(性の価値観、行動、知識)について、質問と相手の反応を繰り返し、表情や共感も交えた対話形式で、患者の心の内を相互理解していくというものです。合計17人(36~77歳)が参加し、そのうち14人は既婚者でした。今回の試行後、14人の内11人は夫で、一人は単独で満足できる性生活に復帰しました。参加した独身女性3人の内、2人は治療前と同じパートナーと、一人は新しいパートナーと性活動をスタートさせました。
 ここで注目されたことは、①がんサバイバーの女性は治療後の性の悩みについて誰かに打ち明けることを強く求めていること、②患者自身のセクシュアリティーについて看護師が親身に聞いてくれたこと、③その看護師と私生活の対話ができるようになってから自身の性の健康を取り戻せたと感じていること―の3点でした。信頼関係ができている看護師が身近にいてくれて、その人との対話が精神的に落ち着いた治療後だったことが幸いだったと言っています。
 著者らは、今回の結果は性の対話により前向きな女性によるものだったので、次は違った対象、例えばパートナーがいない場合や、より高齢の患者などでの試行も必要だと考えています。健康なセクシュアリティーは生涯にわたる生活推進力なので、身体の状態が変化してもこれを“再調整”することが重要だと強調しました。

参考 Paulsen A, et al. Acta Obstet Gynecol Scand. 2024;103

(翻訳・編集=オブジン)



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