精神科の病歴がある場合
米ニューヨーク市で診療する女性精神科医4人は、経口避妊薬（OC）の使用に伴う精神症状についてより正確に把握し、その結果を新規OC使用者へのカウンセリングに生かしてほしいという目的からある調査を実施しました。2021年6月から約半年間のオンライン調査で18歳以上のOC使用者を匿名で募集し、188名（平均年齢32歳）の回答から次のような結果が得られました。OC使用を中止または他の避妊法へ変更した理由の過半数はOC使用後に起こった有害事象でした。その内訳は、ムードの変化（気分の変調）が全体の44％と最も多く、不正性器出血（38％）、体重増加（34％）、下腹部痛（25％）、リビドー（性欲）が無くなった（22％）と続きます（重複回答）。
次にこれらを過去の精神科病歴の有無で見たところ、ほぼ全ての事象について、精神科病歴有りの場合（n=80）が無しに比べて割合は高く、例えばムード変化は、病歴無しの30％に対して病歴有りでは60％と2倍多く、体重増加も病歴有りで約1.5倍、不正性器出血は逆に病歴無しの方が高くなっていました。精神科病歴は不安（70％）が最も多く、続いて、抑うつ（67％）、外傷後ストレス障害（8％）、注意欠陥多動障害（8％）、強迫性障害（8％）、摂食障害（6％）、双極性障害（躁うつ）（4％）などでした。これらの症状がOC開始後どう変化したかについては、悪化した（40％）、変化なし（20％）、改善した（11％）などでした。また、8割以上の女性はカウンセリングのときにムードやリビドーなどの変化の可能性については言及されなかったと回答しました。精神科症状がある女性に対してはOC開始後に症状の変化が起こる可能性を伝え、その後のフォローアップで確認することを著者らは提案しました。
参考 Martell S, et al. Contraception and Reproductive Medicine. 2023 8:9
