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海外情報クリップ

【海外情報クリップ】
月経期の性行為と子宮内膜症のリスク―イラン

第836号

英イラン人女性の疫学調査
 子宮内膜症(以下、内膜症)は生殖年齢女性のおよそ10%、世界では約1億7千万人と言われており、その原因の一つに、月経血とともに内膜組織が卵管を逆流して子宮外組織に癒着する―という説があります。このことから妊娠確率が低いとして月経期の性交を繰り返していると内膜症リスクが上がると考えて、過去に疫学調査がいくつか行われました。そのうちの一つを実施したイラン・マシュハド大学の研究者らは、他の文献を含めてレビューおよびメタ解析を行いました。選んだ4文献の内2件は米国で、2件はそれぞれイランとカタールで実施され、全て症例・対照研究です。この内3件でリスクが上がると結論されましたが、逆にリスクが下がるとされた1件では調査項目に「性交痛」が入っていませんでした。一般に内膜症が進行して痛みを感じる女性は性行為を控えることが多く、調査時点では「性行為なし」と回答したため、症例群全体の件数が減り解析結果に影響したのだと考えられました。しかし全4件、3,640例をメタ解析したところ、内膜症の女性は内膜症の無い女性に比べて月経期の性交を繰り返していた割合が有意に高く、オッズ比1.8(対照群の中で月経期の性行為をした割合を1とした場合の比)という結果になりました。
 2017年にイラン人女性で調査を行ったマシュハド大学のグループは、内膜症群と対照群(非内膜症)それぞれの群内で、月経期の性行為でオーガズムに達した女性と月経期に性行為をしない女性の割合を比較した結果、内膜症群のオッズ比は5.2とさらに高く、月経期の性行為が腟性交ではなかった場合でも(しかしオーガズムはある)オッズ比は2.9でした。
 これらのことから、オーガズムのある性行為を月経期に繰り返すと内膜症のリスクが上がる可能性のあることが示唆されました。

参考 Mollazadeh S, et al. Int.J of Fertility and Sterility. 2023 Vol.17(1)

(翻訳・編集=オブジン)



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