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海外情報クリップ

【海外情報クリップ】
思春期のセックスレスが進むアメリカ

第831号

性体験の影響か
 若年男女の性活動が低下しているという調査報告が、ここ数年で日本を含む幾つかの先進国から発表されており、その一因は活動様式の多様化といわれています。米国インディアナ大学公衆衛生学部「性の健康増進室」の研究者らは、異性パートナー間の性交「Penile-Vaginal-Intercourse(以下、PVI)」が減る理由の一つは、マスターベーションが増えているためと考え、性行動と健康に関する全米調査(NSSHB)から思春期男女(14~17歳)と成人男女(18~49歳)それぞれ約800人と約3,000人の、2009年と18年のデータを比較しました。
 その結果、PVIが過去1年間で皆無だったと答えた割合は9年間で思春期男性は29%から44%へ、女性は50%から74%へそれぞれ大幅に増加していましたが、マスターベーションの割合は男性で46%から43%へ、女性は27%から17%へとそれぞれ予想に反し横ばいか減少していました。次に成人で見ると、過去1年間はマスターベーションのみという割合は男性で21%から30%へ増加、女性はほぼ増減なし(28%)と全体では若干増加し、男女とも約3割でした。
 これらの結果から研究者らは、パートナー間の身体的性活動が減少している背景には、パートナーを伴わない自分一人だけの性体験に満足できていること、同棲カップル自体が減少していること、その一方で、パートナー間の性体験で不快感を覚えて性活動減少につながっていることが考えられ、性交渉の回数を聞くこれまでの調査から一歩踏み込んで、性行為の体験からくる主観を聞き取らなければならないと述べています。実際、PVIの体験が本人のその後の性活動を形作っていくものになるので、この体験が、近年のアメリカで多く見られる強引で不快なものであれば、性活動は減少するはずだと指摘しました。

参考 Herbenick D, et al. Archives of Sexual Behavior. 2022,51

(翻訳・編集=オブジン)



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