身体イメージの自己評価
自身の外性器に不満を持っている女性は整形手術を希望する割合が高いが、実際に身体醜形障害と考え得るのは55人中わずか10人だったという英国の調査結果があります。多くの場合は、自己イメージだけが受診の動機になっていることを表しています。
最近、外性器を扱う美容外科を受診する人が増加しているスウェーデンの場合はどうなのか。カロリンスカ医科大学の研究グループは、外性器のイメージ自己評価スケール(GSIS)という尺度を使ってウェブ調査を行い、18歳以上の男女約3,500人からの回答を分析しました。
その結果、「自身の外性器に満足していない」と答えた割合は、男性では35%、女性では24%に上りました。評価に際しては、実際に自身の外性器の大きさを自己計測して回答することになっています。男性は計測値が大きいほど、また女性は小さいほど満足度が高く、逆に満足度が低い理由は小さすぎる(男性)、大きすぎる(女性)でした。男性の約5.5%と女性の約3.6%は平均値から標準偏差の2倍の偏りがあり、強い不満度を示しました。不満足の回答と有意に関連性が認められたのは、「性活動を控える、活動回数が減る」、「回避行動…着替え室を使わない、露出する衣服を避ける」、「安全指向…他人に見られない行動をする、頻繁に自分の外性器を鏡で見る、民間療法を試す」などの3点でした。強い不満を示した女性のうち7人に1人が美容外科での整形を希望している現状を著者らは危惧しています。期待した結果にならない場合もあり、いつまでも不満は解消されないからです。
外性器の外観には個人差があり、その時代背景も影響します。異常がないと考えられるにもかかわらず外性器に対する低いイメージを持っていると、思うような行動ができない日常生活となり、このような支障を抱えている患者にはまず心理学的な治療が必要であると言っています。
参考 Hustad IB, et al. The Journal of Sexual Medicine. 2022;19