◆処方箋薬からOTC薬へ
世界保健機構(WHO)のリプロダクティブヘルス局は、避妊薬を今よりさらに購入し易くするため、経口避妊薬の扱いを処方箋医薬品から処方箋の要らないOTC薬へ変更することを提言しました。WHO広報によると、世界全体の生殖年齢女性19億人のうち約2億人は、避妊の必要性を抱えているが有効な避妊法を取り入れていないことから、2020年から21年にかけて世界30か国(多くは中~低所得国)の現状を調査しました。
その結果、OTC薬リストがある11か国のうち経口避妊薬が入っていたのは4か国だけで、約半数はOTC化のプロセスがない状態でした。調査したアフリカ諸国の中でエチオピアだけはOTC化プロセスが確立されており、経口避妊薬と緊急避妊薬ともにリストに入っていました。
OTC化で課題となることの一つが副作用の対処です。経口避妊薬の禁忌(例えば高血圧、心臓病、片頭痛、糖尿病)の個々のユーザーに対する注意喚起、不具合事象の伝達ルートの確認を行った上で渡す―このような薬はビハインド・ザ・カウンター(カウンターの後ろ)薬と呼ばれ、ここでは薬剤師の役割が重要です。女性が別の薬を使っている場合は避妊薬との相互作用を見分けることも薬剤師なら可能です。使用する女性自身も、自分に合った避妊薬の知識だけでなく、さらに詳しい薬剤情報を得るためのルートを持つことが必要です。
WHOの提言は、これらを前提に“避妊セルフケア”を推進するのが目的です。その中には、
*経口避妊薬・緊急避妊薬をOTC薬とする
*避妊注射薬(3か月間有効な皮下注射薬)の自己注射を可能にする
*特定の薬剤による妊娠12週未満の妊娠中絶を可能にする
※ただし、いくつかの要件(妊娠期間と薬剤禁忌の服用前自己確認ができる、服用後の効果を自己判定できるなど)が付随