◆アイルランドの調査
米国のある研究によれば、パンデミック前に比べて若年女性が心身の苦痛を訴える割合が増加した一方、逆にストレスが減少して生活の質が上がった人もいたと報告されています。
この事を踏まえて、環境変化と月経、生活の質などの変化をアイルランド人女性で検証するため、ダブリンのトリニティー大学内分泌学のナイアム・フェラン氏らは、国内の女性(15~54歳、平均年齢37歳)を対象として2020年9月に2週間のメディア調査を実施。月経の変化やストレスに関する50問(日記付け形式)の回答を約1,030人から得て分析しました。その結果は次の通りでした。
月経に関連する回答は、月経痛が増した(当該質問回答者全体の)7%、軽減した12%、今まで感じなかった月経痛が出てきた30%、月経痛に変化はない51%。月経量が増えた18%、減少した15%。月経期間が延長(2~6日)した28%、短縮(同)した29%。新たに月経不順を来した9%(たまに起こる7%、しばしば起こる2%)。月経前症状が悪化した53%、改善した7%、変化なし40%―などでした。
その他では、リビドー(性欲)が減少した45%、増加した13%、変化なし42%。体重が減少した(中央値-3㎏)16%、増加した(同+3㎏)65%、変化なし19%―などでした。
精神面では、気分低下と不安症状はパンデミック前の約30%から50%へ増加しました。
これらの負の影響とは逆に、10人に1人の割合で生活の質が改善したという回答がありました。理由は、生活のペースに余裕ができた、家族との時間が多くなった、通勤の煩わしさがない、運動する機会が増え体重が減った―などを挙げました。
しかしフェラン氏は、これらのパンデミック初期の影響はあくまで一時的な変化と考えており、環境変化が健康に及ぼす影響は、その持続期間によって変わっていくと述べています。
参考 Phelan N et al. Frontiers in Endocrinology. 2021 March