◆思春期から更年期まで
思春期の最初の性交渉と避妊から、成熟期を経て更年期までのいわゆるミッドライフの避妊まで、数十年間の生殖年齢期間を通して、女性はどのように自身の避妊と付き合ってきたか? 米カリフォルニア大の研究グループは、現在40~55歳になる閉経前の女性20人に対し、過去を振り返ってのインタビューを行いました。
ほぼ一様に回答された思春期の回想を列挙すると次のようでした。
・母は性交渉や避妊の話をしなかった。
・母はただピルを私に渡しただけ。
・初経を見て母は妊娠するかもしれないと言うが私は何の事か理解できなかった。
・試行錯誤して自分自身で避妊法を身につけた。
・副作用の不安以上に絶対に妊娠しない事だけ考えてピルを使っていた。
―などでした。
この様な結果から著者らは、「思春期に必要なのは、まず母親が避妊知識とその教え方を知ること、当事者が避妊法に容易にアクセスできることの二つです。」というアドバイスを行いました。
ミッドライフに入ると性生活に自信がつき、避妊への考え方は大きく変化します。
例えば、
・ライフスタイルに合うピルを見つけるため種類を何回も変えた。
・自身の避妊ではなくパートナーに対して避妊を要求するようになった。
・挙児を見据えて確実な避妊と確実にリバース(妊娠可能状態へ戻る)する避妊薬を求めた。
・持病のためいつまでピルを続けるか迷っている。
・加齢と共に副作用の心配からホルモン用量の低いピルに変えた。
・IUDを希望したが年齢的に遅いのではないか、もっと若い時に開始しておけばよかった。
・避妊よりも次の目標は早死にしないこと。
―など、十人十色の回答でした。
ミッドライフの女性はそれぞれのライフスタイルや健康目標に合わせて閉経前の避妊法に対する考え方や希望が多様化しています。著者らは、これらの女性の避妊経験やニーズをよく聞くことから、今後の新しい避妊法の開発が進んでいく事を期待しています。
参考 Alspaugh A, et al. Women’s Midlife Health. 2021 7;3