◆韓国の調査から 韓国では、過去約20年間に初経年齢の低下傾向が続いており、しかもこの傾向は直線的で5年毎のデータは毎回、前回よりも初経の平均年齢が低くなる事が示されています。東国(トングク)大学病院小児科のキム医師らはこの原因には遺伝背景と食生活の変化が影響していると考えて調査しました。 遺伝背景で見ると、母親の早い初経(13歳未満)はそうでない場合より約1.56倍娘の初経(12歳未満)に影響していました(母娘ともに早い初経の割合36%、それ以外の割合26%)。 次に食生活で見ると、1988年に韓国でソウルオリンピックが開催されてから洋食が好まれるようになり、思春期の肥満者(BMI25以上)の割合は男性19%、女性14%とそれぞれ10年間で2%と4%増加しました。 米国の研究から、砂糖を多く含む飲料の摂取と早い初経との関連性、また、初経前の過剰な体脂肪との関連性が指摘されています。 韓国では小児の炭酸飲料摂取が急激に伸びており、これに含まれる甘味料とりわけフラクトース(他の糖と代謝が異なる)により蓄積した体脂肪から産生される伝達物質が、下垂体からの性腺刺激ホルモンを分泌させて月経を誘発するとされており、小児期の過剰な糖分の摂り過ぎは早い初経に大きく影響すると研究者らは考えています。 現在18~30歳の女性の平均初経年齢は12.7歳ですが、早い初経とされる12歳未満の割合はこの層全体の22.3%となっており、母親世代ではこの割合は10分の1(2.5%)でした。さらに、遺伝背景の近い北朝鮮の女性の場合は平均初経年齢が16歳という報告(Ku. Hum Repro. 2006)があることからもその影響の大きさがうかがわれます。 参考 Kim JH, et al. Clin Exp Pediatr. 2021;64(1)