◆薬剤師の対応を調査 現在米国内で販売されている経口ECはレボノルゲストレル1・5㍉㌘(以下LNG)とウリプリスタル30㍉㌘(以下UPA)があり、前者は年齢に関係なく購入でき、後者は処方薬ですが幾つかの州では薬剤師がその場で処方して渡すことが可能です。 その一方でECの薬剤師処方を認めていない州があります。ECを求める女性の最初の接点はほとんどが薬局です。また服用の緊急性を必要とする薬です。そこでジョージア大学薬学部らの研究グループは、薬局のEC提供の実態調査を行いました。 対象地区は薬剤師のEC処方が認可されているカリフォルニア州(以下CA)(調査薬局数239件)と認可されていないジョージア州(以下GA)(同149件)です。実際に顧客女性を装って薬局に問い合わせを行い、薬剤師の応対を見るという方法です。例えば、「性行為後の妊娠が心配です。何か回避できる薬はありますか?」―これに対し、CAの9割以上の薬局では「緊急避妊薬があります」と返答、次にLNGの説明をしました。 一方GAでは「はい、あります」と返答したのは7割弱にとどまりました。さらに続けて、「性行為から4日たちますが、それでもその薬は効きますか?」―これに対し「いいえ効きません」の返答はCAで2割でしたがGAでは8割、「効きますが効果が落ちる場合があります」の返答はCAで6割、しかしGAでは2割以下でした。 次に、いつ性交があったかを確認した薬剤師の割合は、CAは21%、GAは12%、体重を聞いた割合はCAで1%、GAで皆無でした。 米国産婦人科学会ではLNGは性交後5日までは効果が期待でき、UPAは体重70㌔㌘(BMI25㌔㌘/平方㍍)以上、性交後5日までLNGより有効とされています。 CAの薬剤師は、避妊薬の継続教育を受けているため正確な情報を伝える事が出来ましたが、GAの薬剤師はそこまで達していませんでした。 薬剤師による経口避妊薬(EC含む)の処方は2016年から認可が始まり、現在11の州で実施されています(昨年5月時点)。当事者女性の緊急避妊とその後の継続的な避妊を確実に安全に行うための薬剤師の役割はたいへん重要です。研究グループでは、EC全ての知識の拡充と薬剤師処方が進んでいない州の改善を訴えています。 参考 Stone RH, et al. Pharmacy. 2020 8;105