子どもが高学年になり、ママ友たちと性教育の話題になることが多くなってきました。「最近エッチな動画を見ているみたいだけど、気付いていることを伝えていいのか」「インターネットを見ていて表示される過激な広告が気になる。男子は母親から伝えられるより、父親から伝えられた方がいいのだろうか」「学校の授業で習っているだろうから家庭では触れない」などさまざまな意見がありました。
ある日のリビングでの出来事です。ドラマのキスシーンがテレビに映りそれを見ていた娘が「赤ちゃんできるね」と言うのです。赤ちゃんってキスするとできるの? と聞くと「そうでしょ」と言うのです。幼い頃からプライベートゾーンのこと、妹弟の誕生に合わせて生命の誕生についても話をしていました。この前見つけた保健体育のテストにも卵子・精子など身体の仕組みについて丸をもらっていた娘からの発言に驚いてしまいました。
赤ちゃんができるためには男性の種(精子)と女性の卵(卵子)と…と話すと「知っているよ」と言うのです。学校では妊娠の経過には触れないことになっているため、身体の仕組みと妊娠の経過が結び付いていないのではないかと実感した瞬間でした。とはいえ、具体的な方法を質問されたらわが子に淡々と説明ができる自信もなく、どこまで理解できているのか確認することはできませんでした。
正しい知識を身に付け、自分を守れるようになってほしいと願いながら矛盾していると感じました。性情報が氾濫している今日、思春期の男女が得る情報源は友人や雑誌などの出版物、インターネットが多く、中には誤った情報や過度なものもあります。どの情報が正しいのかうのみにするのではなく、自分で考える力を身に付けることが大事です。また親として性教育に限ったことではないですが、不安や疑問を言い合えるような関係性を日々の積み重ねで築いていくことが大切だと思います。
もうすぐ4年目に入るLINE相談では、女子からの妊娠不安相談の低年齢化が見られます。実際に中学生でも性交経験があり、妊娠不安で相談してくる子どもたちが大勢います。興味本位のケースもあれば、依存性を満たそうとしている子もいます。二次性徴の身体の仕組みと妊娠の経過が分からないまま性交をしていることは計画外の妊娠につながる可能性が高く、若年者の妊娠・出産、虐待、経済困難などさまざまな社会問題へとつながり、性教育の重要性を改めて感じます。
先日「生でしたけど、外には出してくれた。でも妊娠が不安」と相談がありました。相談員としては、この「してくれた」という表現がとても気になりました。腟外射精は避妊にはなりません。あなたのために避妊してくれているわけではないのです。
妊娠は女性の身体が引き受けるものだからそうなる前にできることを考えてほしい。妊娠を望んでいないならNOセックスもしくは、女性主体の低用量ピル、性感染症予防にはコンドームをと伝えます。
LINE相談を通して、悩んでいる人が多くいるのに、相談できる人や場所が少ないことを実感しています。実際、娘との関わりからどこまで理解しているのか不安を感じます。また文字でのやりとりには限界があります。行動レベルに移せるようなメッセージを伝えるために時には直接話せる相談も必要と感じ、本会の相談室では必要を感じたとき会議室を急ごしらえで相談室にしつらえ、対面で対応することもあります。処方や検査はできませんので、近隣の医療機関と連携を取りながら思春期の体と未来を守っていけるよう体制を整えています。