昨年の事務所移転から1年。利用者の行き先を調整するため、市ヶ谷に残り診療を続けていた本会思春期クリニックはついに10月末にて閉院となりました。
診察室では北村先生が受診する方々に「実はね…」と閉院のお話をします。そうすると、ほぼ全員から「えーじゃあこれからどうしたらいいの?」と返ってきます。予約時間通りに始まり、院内処方が貰えてお会計して帰るまで待ち時間ほぼなし。その上、先生は優しく親身になってもらえる。単に治療するだけでない関係性は、カルテに書かれる「男できた」「カメ元気で4キロになった」といったメモが大きな力になっていることを、診療介助をするようになって気が付きました。中学生の頃から30年近く通われていた方にとっては「私これからどうするの?!」と男女の別れ話のようなやりとりも仕方ないことだと思いました。自分に合う婦人科ってなかなか出会えないと思うのです。
幸い、クリニックのあった場所に開設される医療機関で、北村会長の診察日が予定されていると伺っています。
実は私も若い頃、重度の生理痛に悩まされてきました。満員電車での通学時、生理でお腹が痛い、痛みを我慢、耳鳴り、冷や汗、目の前真っ暗という一連の流れで途中下車し、駅員さんの仮眠室のようなところで休ませてもらう事が何度かありました。生理痛は薬を飲んでやり過ごすものと思っていたのです。
生理を移動させる為、中用量ピルを内服したこともありましたが、仕事に支障を来すような吐き気があり、あまり良い印象が持てずにいました。現在は低用量ピルがありますが、私のようにピルで苦い経験をした母親は娘の生理痛や月経移動に低用量ピルを服用することへのハードルが高くなると思いました。考えてみれば思春期の女子を持つ母親が知識を得る場はどこにもありませんでした。
当時、市ヶ谷クリニックのようなところに通えていたらなあ、生理をコントロールする女になっていたらどんなに楽だったかと思います。
今、渋谷区幡ヶ谷で緊急避妊やピルの電話相談、思春期のLINE相談を行なっています。市ヶ谷は駅近で春は桜並木、お堀端の遊歩道、撮影によく使われる釣り堀、中央線が目の前に見えて都心とは思えない景色が自慢でしたが、新しい事務所は商店街。駅からも近く相談室からは遠くにスカイツリー、新宿副都心のビル群が見渡せる場所ですが、周辺には飲み屋さんが多く、勤務後にまっすぐ帰れるか心配になる立地です。
何より私が驚いたのは、これまでフロアが違う為、北村先生、杉村センター長、数名の職員さんしかお目にかかった事がなかったのですが、幡ヶ谷は全職員がワンフロアにいて、こんなに沢山の方がいる組織だったことに驚いています。
心機一転、素敵なオフィスに見合うように自分のスキルを上げていかねばと思うのでした。