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第834号

 思春期・FP相談LINE/EC・OCヘルプデスク相談員 本村 弥恵子

 JFPA思春期保健相談士®として思春期相談を受けるようになって、いつの間にか20年が過ぎ、気付いたら相談員の中で最年長になっていました。相談員を始めた頃、思春期の真っ只中にいた娘も、押しも押されもせぬ成年女性になり、ここ数年は性の多様性や妊娠・出産に関する価値観などについて話す中で、私自身の思い込みや限界に気付かされることも増えてきました。若い相談員仲間には娘と同じ年代のかたがたが増え、豊富な知識や新鮮な感性、またリプロダクティブ・ヘルス/ライツを守るために役立ちたいという熱い思いに触れ、とても頼もしく感じています。
 相談員になりたての頃は、電話相談の件数が多く、どんな相談が飛び出すか分からず、毎回戦々恐々としていました。新米相談員の不安をよそに、容赦無くひっきりなしに電話が鳴り、一つ一つの相談に必死で向き合うことが、何よりの勉強、そして訓練となっていったように思います。
 20年前には想像もしなかったインターネット利用の拡大、情報量の増大、価値観の多様化に伴い、昨年度よりJFPAの思春期相談も電話相談から、LINE相談に移行し、今年で3年目に入りました。電話からLINEに変わっても、思春期の悩みの中身が大きく変わることはなく、男性の相談では、包茎とマスターベーションの悩みが不動の地位を占めています。一方、女性では月経・妊娠不安・緊急避妊、低用量ピルについての相談が多いのは変わらないのですが、そうした相談の垣間に人間関係、性や自分の健康における主体性の課題が感じられることが増えているように感じています。
 LINE相談の良いところの一つに、相談員がいったん自分の中に落とし込んで、時には複数の相談員で話し合うことで多面的な視点を持つことができる点があります。表面的には妊娠不安の相談の陰に、同意のない性行為が隠れていたり、生理痛の相談に親との価値観の違いに悩んでいる様子がうかがえたりすることがあります。そんな時、医療的な情報だけでなく、情報を活用して自分自身を守るための行動が起こせるように、そっと背中を押せる言葉がないだろうかと、一呼吸おいて考えるようにしています。LINE相談での相談員の腕の見せ所と言ってよいかもしれません。文字だけのやり取りであるため、相談に応える最初の受け止めはとても重要です。内容に関わらず、人から言われたのではなく、自分で主体的に相談してくれた勇気を認め、労います。思春期の相談は幅広く、LINE相談でできることは限られていますが、より適切な窓口を見つけたり、また相談してみようと思える体験になるように、丁寧に応答していきたいと思っています。
 どんなに科学や技術が進んでも、相談の形が変わっても、一人で悩み、立ちすくんでいる若者が相談窓口の向こう側にいて、誰かとつながろうと一歩踏み出してくれていることを大切に、相談する力、人とつながる力を育てていくためのやり取りを、一つでも多く積み重ねて行けたらと思っています。


お知らせ

電話・LINE(ライン)相談

  • 思春期・FP相談LINE
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  • EC・OCヘルプデスク ☎ 03(6280)8404
     ※平日(10:00~16:00)

  • 東京都不妊・不育ホットライン ☎ 03(3235)7455
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上記の電話・LINE相談に応じてくださる方を募集中です。平日、市ヶ谷にお越しいただける方、下記まで。
☎ 03(3235)2694

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