「ライフサイクル」とは、『看護学大辞典』(第6版 メヂカルフレンド社 2013)によると、「人間の生活周期のことであり、人間は一生の間に、成長→結婚→子どもの出生→子どもの成長と結婚→自らの老衰という順序を経る」と記されています(もっとも最近は、結婚や子どもについてライフサイクルに組み込むかは個人によるように思いますが)。一方で、人には「発達段階」があります。近年の日本人の生活は多忙で多様であり、様々な選択肢があります。私たち看護職は、「ライフサイクル」と「発達段階」を理解し、対象者個別の健康問題に関わっています。
ところで、女性の思春期(8~18歳ごろ)や更年期(45~60歳ごろ)の健康問題は、女性ホルモンが大きく関わっています。先日、10年目にして初めて、クリニックの外来業務を担当しました。その時に来院されていた方の話を聞き、更年期のピルと健康問題について考える機会がありました。40代であるその方が「ピルをいつまで飲み続けるか」について、医師に相談していました。20年来ピルを服用している、とのことで「ピルのある生活が当たり前過ぎて、飲まない生活は想像できない。月経前の便秘や頭痛などもピルで軽減されているので、やめるのは少し怖い」と話されていました。
一般的に、更年期に起こりやすい健康問題には、うつ、子宮体がん、卵巣がん、乳がん等があります。加齢とともに生活習慣病も増加します。いずれも将来に影響する心配な病気です。しかし、個人が感じる病気の深刻さは、疾患名と必ずしも一致しません。月経前の「便秘」や「頭痛」もご本人にとっては深刻な症状となり得ます。
日本で低用量ピルが承認されたのは、1999年6月17日(発売開始は9月2日)で、当時、国連加盟国で承認されていなかったのは日本だけでした。低用量ピルは避妊以外にも女性にとってメリットが多いのですが、全国調査「第8回男女の生活と意識に関する調査」(日本家族計画協会 2017)によれば、女性ホルモン剤(OCとLEP)の使用率は4.2%でした。また、女性ホルモン剤を使用したくない理由は、「副作用が心配」が47.6%を占めていました。「ピル=副作用」のイメージは根強いことが伺えます。一方で、先日のピルユーザーさんのように低用量ピルを使用するメリットが日常生活の「当たり前」になっている方もいます。彼女の不安は、自分で自分の健康を考え行動している結果であり、低用量ピルのメリットがデメリットを大きく上回っている結果でもあると思います。
昨今、「プレコンセプションケア」という考え方が盛んに聞こえてきます。予期しない妊娠や性感染症、性暴力等の社会的課題の根本に、若い人たちに十分な健康教育がされてこなかったことが関連していると言われています。10年目の相談員として、自身の健康のための知識とスキルを身につけ選択していけるような女性がもっともっと増えるように、活動していきたいと思います。