文部科学省初等中等教育局児童生徒課の「令和3年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によると、不登校の子どもたちは年々増加し、現在は、中学生の20人に1人が不登校と言われています。本会の思春期LINE相談にも、不登校の子どもからの相談も時々寄せられます。
ある男子中学生から「マスターベーションがやめられなくて、学校に行けない」という相談がありました。「マスターベーションがやめられないこと」と「学校に行けないこと」、この中学生にとってどちらが相談の主軸だろうと考えました。マスターベーションは成長の過程で必要な自然な行為であり、その回数に制限もありません。ただし、その行為がやめられないということは、自制する感情をコントロールできていない状況なのだろうと思います。また、「学校に行けない」の背景には、学校でのいじめの経験や学業不振、教師の強い叱責による恐怖体験、親との不和などの問題を抱えている場合もあります。男子中学生が学校に行けないことへの罪悪感や不安を抱え、孤独な日々を過ごしている生活が想像できます。マスターベーションはそんな不安や緊張を和らげるための方法なのかもしれません。私は学校に行けない事への不安に共感し、マスターベーション自体に問題はないことを伝え、もし何か家庭や学校に心配ごとを抱えているのであれば、それを専門とする相談先の情報を伝えました。
電話相談の頃にも、同じような相談は幾度となくありました。会話のキャッチボールを繰り返し、いちばん相談したいこと、困っていることを聞き出し、確認しながら回答していました。声の感じで回答に納得してくれたかもある程度察しがついたものです。しかしLINE相談の場合には、少ない文字情報の中で、相談者が本当に相談したいことは何なのかを感じ取らなければならないという難しさがあります。同一人物からの相談であっても、名前を変えて相談してきた場合に、それに気が付きにくい点もあります。また、その回答においても、相談者への気遣いを行いつつ、要点をわかりやすい文章で表現することの難しさを日々痛感しています。
電話相談からLINE相談に移行し、その相談内容に関しては、よりリアルで深刻な内容が増えたように感じています。今後、不登校の子どもたちからの相談も増えてくるでしょう。LINE相談は相談者にとっては相談しやすく、相談員にとっては対応が難しい部分があります。今後、学習と経験を積むことで、私自身が思春期LINE相談員としてのスキルを上げていきたいと思います。