相談手段が、電話からLINEに変わって、よりハードルが下がったためか多様な内容が増えたように思います。LINE相談は相談者が困っていると感じていることを一方的に質問として伝えてきます。こちらが回答する上で必要な点について質問することもありますが、チャット形式ではないため、基本的にはある程度まとまった形で回答を返しています。詳しい状況を説明して相談してくれることもありますが、多くの断片的な言葉による相談に対して、色々な可能性を考えて回答する難しさを日々感じています。
ある男子大学生から、高校生の時より、某SNSで相手に自分の性器の画像を送ったりすることに性的興奮を感じて繰り返しており、この性癖を治したいのにやめられないとの相談がありました。知らないSNS、やや独りよがりな相談内容に、始めはいたずらを疑いながらも、用語を調べたり若手の職員に尋ねたりしながら、相談者の状況を何とか理解しようと試みました。どうやらランダムに繋がった分からない相手に画像を送ったりしているようでした。インターネットで画像を送るリスクや、同意なく性器を見せれば犯罪であることを伝え、やめたいのに自分でコントロールができないのであれば精神科での治療が必要であると勧めました。すると、同意を得た相手に送っている、相談者自身も精神科の受診を考えているとのこと。相談先を案内すると「ありがとうございました」といって終了となりました。
また、女子高校生から、インターネットで知りあった男性と会って性行為をしたあと、生理が遅れており妊娠が心配という相談がありました。性行為からすでに1か月ほど経過していたため、婦人科を受診して妊娠の有無を確認し、今後のことや避妊について相談するよう勧めると、妊娠検査薬は陰性だったが生理が来ないのは心配なので受診するとの返事がありました。しかし、相手についてインターネットで知りあった以外の情報がなく、会ってまもなく性行為があったことが気になり、相手からの強要がなかったかを確認しました。すると彼女は、妊娠を心配して検査したことを相手に伝え、今後会うことは控えることでお互い一致しているとのことで、性暴力は否定しました。こちらから相手との関係についてもう少し詳しく聞くことは、LINE相談だけではなかなか難しく、彼女の認識が相手と本当に一致しているのか一抹の不安はありましたが、彼女自身がリスクを認識して意志を伝えることができたことに、ひとまず胸を撫で下ろしました。と同時に、その対処とハイリスクな行動とのアンバランスも感じたケースでした。
インターネットを始め変化の早い環境の中で、試行錯誤しながら必死に生きている思春期世代が、自分なりの表現で相談してくれたことを大切に受け止め、できるだけ理解し寄り添える場所で在り続けたいと思っています。