市谷クリニックへようこそ!
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第821号

 相談員 廣瀬 和美

 本会家族計画研究センターでは、電話相談、LINE相談を一定期間経験してから思春期外来を担当することになっています。7月号に続き新たにクリニックメンバーになった相談員さんにお話いただきます。

 相談員になってちょうど1年になりました。普段は産科の病院で助産師として働いています。数年前、春休みの時期の夜勤中に突然インターフォンが鳴り、「緊急避妊薬ありますか?」と15歳の中学生カップルが訪ねてきました。夜間に緊急避妊薬を処方するのは、診察券を持った人にだけ、しかも数万円、さらに保険証を提示しなければならず何とも15歳にはハードルが高すぎました。そこで私は一緒にどこか他の病院ないかと探し、結局他の施設で受診する事になりました。この一件がきっかけで思春期の支援に関わりたいと思い、思春期保健セミナーを受講し、本会の思春期・FP相談LINEとOCヘルプデスクに携わらせていただいています。
 とはいえ、お産ばかりしていた私は最初の数か月、当番の日はかなり緊張して市ヶ谷の駅に降り立っていたことを思い出します。今もまだ“余裕がある”とまではいきませんが…。
 相談員になって数か月経った頃、杉村センター長から「北村先生の外来についてみたら? きっと勉強になるはずだよ」と声がかかりました。
 初めて診療介助につくと、そこでは、14歳の女子が先生に「今度の彼はとってもいい人なの」と報告しています。先生は「そうなんだ~いい人の定義ってなによ?」すると「私が学校に行ってない事も理解してくれているの」私はヒヤヒヤしながらやり取りを聞いていました。先生は「そっか~そしたら今度『私生理がないの』って言ってごらん。彼どんな反応するかな? それとピル飲んでいることを彼に言っちゃダメだよ。男がコンドーム使わなくなくなっちゃうからね」と新しい彼氏ができて周りが見えない状態の彼女に優しく諭していました。
 コロナ禍で大学もオンライン、実家にも帰らず1か月ほとんど誰とも話していないという一人暮らしのメンタルに不安を抱えた大学生には、「また僕に会いに来て欲しいから1か月だけピルを処方するね」と引きこもりがちな彼女が外に出るきっかけとなるよう来月も予約を入れるよう促しました。
 「生理が1か月に2回来るんです」と訴える中学生への対応、「生理前に気分が落ち込むんです」という大学生へのホルモンの影響の話など、とても分かりやすい説明で、コミュニケーション技術と併せ私自身の勉強になっています。
 思春期女子が親にも友達にも言わないような事を北村先生の前で話すのは何故だろう? と考えました。“説教しない、怒らない”というのもありますが、スタッフの人柄、施設の雰囲気などに加えやはり長年、ピル承認に向けた情熱つまり女性の健康を思う姿勢が、診療の場でも伝わるのかなぁと。それゆえ帰りがけの「女性は経済的に自立しなきゃだめだよ」「男に頼っていちゃだめだよ」というひと言ひと言が染みるのです。
 私も日々研鑽し、自分流ではありますが相手を思う気持ちが伝わるような援助ができる相談員を目指します。


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  • 東京都不妊・不育ホットライン ☎ 03(3235)7455
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  • EC・OCヘルプデスク ☎ 03(6280)8404
     ※平日(10:00~16:00)

  • 思春期・FP相談LINE
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