桜の花に見守られ、新年度が幕を開けました。今年度こそ、新型コロナに生活を制限されませんようにと願うばかりです。
さて、昨年4月から開始した「思春期・FP相談LINE」。おかげさまで1年目としては想定を超える数の相談がありました。
相談員と声を交わさない、入力・送信は昼夜を問わないなど、SNSの特徴をフルに生かした相談体制は、ことのほか思春期世代の心をつかんだように思います。何より、女性、しかも性欲、自慰など電話相談時代では男性の相談の上位に挙がりこそすれ、女性では緊急避妊や妊娠不安に押されていた項目が顕著に増加しています。聞きたいけれど口にしにくい、そんな悩みがずっと隠れていたのかもしれません。
この経験から、悶々としながら相談に至らない方も相当数いるはず! と確信。悩みを話すことができ、情報や解決するヒントをお届けできる場所がここにあることを多くの方に知っていただけるよう、相談員さんとも知恵を出し合ってPRしていきたいものです。
LINEでは日頃使う言葉をそのまま文字にすることが多いので、たった1年で若者言葉をそれなりに覚えました。「“ヤリモク”の男って分かったからもう会わないって決めた」訳すと「性交が目的の男性だと分かったので、もう会わないと決めました」となります。もっとご紹介したいのですが、先ほど記したように、性的なやり取りが多いので、紙面では自粛いたしますが、何らかの機会にお話しできればと思っております。
昨年度のクリニックでのトピックスの一つに新型コロナウイルスワクチンの新宿区の個別接種医療機関として、手を挙げたことがあります。
思春期婦人科のスタッフとして主に若い女性とお付き合いしてきた私にとって、近隣住民との関わりは新鮮でした。特に5~11歳対象の接種日はほほ笑ましく、にぎやかで、将来の夢はティックトッカー(ショートビデオサービス「TikTok」に動画を投稿している人)という7歳の女の子。接種のご褒美はアイスクリームなのだそうですが、コンビニのではダメ、ファストフードのは? と折衝の末、某有名高級H社製で無事接種。2時間も接種室と待合室を行き来した揚げ句、勇気が出せなかった6歳の男の子、それまで半泣きだったのに待合室で同級生女子を見つけるなり、急に「注射怖くありませんけど何か?」とゆとりを見せる小学生男子などなど。
成人の時間でも、これが久々の外出で会社員時代に活躍していた頃の様子を楽しそうに話す80代。婦人科と聞き急に慌てる男性陣などに始まる楽しい交流もありました。
一方で知的障害を持つ大柄の40代男性を、自身の背丈をとうに超えられたであろう父親が抱きかかえるようにして来院する姿。いっときもじっとしていられない小学生を連れた母の慌ただしい接種。いずれも騒々しいことを周囲に謝る姿などに触れ、子育てや、しょうがい者、高齢者介護を家族だけが担う社会的問題などを考える機会にもなりました。
体験全てが何かしら気付かせてくれるのが現場の強さです、この学びを社会に、自分に生かさずしてなるものか、そんな思いを抱きつつ今年も全力疾走して参ります。