市谷クリニックへようこそ!
市谷クリニックへようこそ!
第816号

 東京都不妊・不育ホットライン 相談員 横尾 澄香

 「東京都不妊・不育ホットライン」には多くの相談が寄せられます。本会はご存知の通り、不妊の悩みを経験した当事者がピアとしてお話を伺っていますので、妊娠に向けた相談だけでなく、いろいろな声を聞くことができます。
 「一人目は自然妊娠で妊娠をしました。二人目もいつでも妊娠ができると思っていたんです。でも、一人目の子育てが落ち着いたので二人目が欲しいと思ってもなかなか妊娠しませんでした。幼稚園のママ友達は二人目を妊娠し、次第に私は孤立感と女性として劣等感を感じるようになったんです。でも、二人目不妊の辛さを話せる人も理解してくれる人も周りにはいません。ママ友達と顔を合わせることに息苦しさを感じるようになりました。その頃、このホットラインを知り、誰にも話せなかったことを聞いてもらいました。自分を追い詰めることしかできなかった不妊治療。話を聞いてもらうことで、少ないストレスで不妊治療をすることができました。誰にも分かってもらえなかった二人目を妊娠できないつらさを聞いてもらい、救われました。二人目を授かったのもストレスを感じずに不妊治療ができたからだと思います。話を聞いていただきありがとうございました」と妊娠報告の電話をいただきました。
 またある方は「夫が男性不妊なのが分かり治療を始めました。自分は不妊ではないから治療をしたらすぐに妊娠をすると思っていました。でも、治療をしてもなかなか妊娠をしません。男性不妊で不妊治療をしていたはずなのにいつの間にか自分のせいで子どもができないと考えるようになりました。不妊治療を止めたい気持ちもあります。近頃、夫は子どもがいなくても、二人でも構わないと言ってくれます。でも、子どもは諦められません。子どもに執着してしまう自分がいました。そんな私に相談員さんは、妊娠しないのはあなたのせいではありませんよ。自分を大切にして生きていって良いのですよと言ってくれました。その言葉で気持ちが楽になり、新しい生き方を考えられるようになりました。まだ具体的に何かすることを決めたわけではありませんが、やっと一歩進むことができます」と不妊に悩むことからの卒業を報告された方もいました。
 不妊・不育の悩みは、お一人お一人に違う背景があり、100点の模範回答はなく、相談に対してQ&A式に明確な答えをお伝えすることもなかなかできません。ご本人が努力すれば解決できる問題でもありません。また、相談員が不妊・不育ホットラインに電話を下さった全ての方の心に沿って話を聞ければ良いのですが、時には共感しきれない気持ちと葛藤しながら話を伺う時もあります。これで良かったのか、もっと良い対応の仕方があったのではないか。相談者の方の話をしっかり聞けたかなど、毎回自問自答を繰り返しながらお話を聞いています。
 このような報告の電話をいただくと少しは役に立てたのでは、と心が軽くなり電話相談員を続けていく勇気をいただいています。


お知らせ

電話・LINE(ライン)相談

  • 東京都不妊・不育ホットライン ☎ 03(3235)7455 ※火曜日(10:00~16:00)
  • EC・OCヘルプデスク ☎ 03(6280)8404 ※平日(10:00~16:00)
  • 思春期・FP相談LINE ※返信は平日(10:00~16:00の間)
    line.png

電話・LINE相談員募集!

上記の電話・LINE相談に応じてくださる方を募集中です。平日、市ヶ谷にお越しいただける方、下記まで。
☎ 03(3235)2694

JFPA無料メルマガ登録をお願いいたします!

前の記事へ 次の記事へ

今月のページ

季節号・特集号

連載・コラム

バックナンバー