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第808号

 思春期・FP相談員 幸﨑 若菜

 2011年春から思春期保健相談士®の資格を生かせる活動がしたいと、病院でフルタイムの助産師をする傍ら、日本家族計画協会での電話相談に細々と従事してきました。この電話につながって本当に良かったと感じたケースもたくさんありますが、同時に性的いたずら電話もたくさん受けました。
 働き始めた頃に、相談員になるために研修に来ていた方が性的ないたずら電話を受け、「自分には続けることができない」と早々に辞めていったことは今でも忘れられません。経験が浅いと相手がリピーターかどうかは分かりません。先輩相談員に内容を伝えると、「リピーターだね」と教えてもらい、淡々と返答して切るという対応を覚えていきました。しかし、まじめに相談を受けていたのに、最終的には相談者の自慰行為に巻き込まれてしまうという性的暴力の被害者になることも多々あり、その都度「マスターベーションに他人を巻き込むことはルール違反」「あなたがやっていることは犯罪です」「二度とかけてこないでください」といった内容のこと伝えて切るようにしていました。
 相談者がどこまで相談員の立場を考えて行っている行為なのかは分かりません。相談者の年齢も声だけでは思春期の対象年齢かどうかも判断もできません。「無料の相談だから」「相手は思春期相談の専門家だから」「相手は仕事だから」と言って、性的嫌がらせを受けていいという理由にはなりません。相談者の耳に私のメッセージが届いたのかはわかりませんが、許容してはいけない行為に対してははっきりと「NO」と伝えることをポリシーとして活動してきました。
 「思春期・FPホットライン」は、時代の流れとともにLINEでの相談に移行し、このような性的いたずらに巻き込まれることはなくなり、相談員としてのストレスは減りました。しかし、移行して間もないにもかかわらず、性犯罪に巻き込まれた可能性が否定できないケースの相談も入っています。私は性暴力被害に積極的に取り組む施設で勤務していることもあり、ケースの振り返りもかねて、近年話題になっているレイプドラッグについて、先日相談員での自主勉強会で共有しました。
 相談員は思春期保健相談士®の資格を持ち、本業として医療や保健・教育機関で働く専門職です。しかし、その現場はさまざまで知識や経験もさまざまです。多様な現場で働いているからこそ、その知識や経験を仲間で共有して、スキルアップしていくことが今求められていると感じています。
 時代は変化し、人とのつながり方も価値観も大きく変化しています。LINE相談を始めたからこそ、文字だけで相談に乗ることの難しさを相談員全員が感じています。この変化に順応できるまでにどのくらい時間がかかるのかもわかりませんが、私たち相談員も若者に利用してもらうために、時代の変化に柔軟に対応していく能力が求められていると感じています。


お知らせ

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  • 思春期・FP相談LINE ※平日のみ
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  • 東京都不妊・不育ホットライン ☎ 03(3235)7455 ※火曜日のみ
  • EC・OCヘルプデスク ☎ 03(6280)8404

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上記の電話・LINE相談に応じてくださる方を募集中です。平日、市ヶ谷にお越しいただける方、下記まで。
☎ 03(3235)2694

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