当方は、副作用の問題も、環境ホルモンもある意味では、医学・薬学等の科学的議論で防衛できると考えていますが、一番恐れているのは公衆衛生サイドとそれを隠れ蓑にしている昔ながらの考え方を持っておられる方々です。副作用や内分泌問題については、日本で言うところの大体の大御所はピルを承認しないのはおかしいという風向きになっていると読んでいますが、公衆衛生サイドの大御所は、そうではなく、ましてや、国の研究機関の学者がいろいろと主張されているのもネックの一つではあります。
性感染症対策は、北村先生のおっしゃるとおり、そもそもの性感染症の公衆衛生上の対策が現在もあまりぱっとしないところには、「ピルをスケープゴートにするな」という御意見には共感します。公衆衛生審議会の答申は、医薬品サイドもそうですが、むしろ、公衆衛生サイドに向けられているものであるという認識をもっていただきたいものです。
そんな状況もあり、内山部会長(筆者注:中薬審常任部会)も「ピルについては、医師向け・患者向け文書などは、修正点の会議での確認として何度も行き来しているが、今後はそんなことにはしない。環境ホルモンについても審議は終わったものと思っている」
内山先生が、科学者として現在の状況に業を煮やしているということは私どもも分かっています。北村先生が毎日新聞の記事のことをおっしゃっておられましたが、かなり確信犯といえます。御察しのとおり、外堀を埋めているものと思います。先日の産経新聞の記事でもあるように「歴代の大臣や局長が反対だったり…」ということを内山先生はよくご承知になっておられるわけですから、それを牽制しているのかもしれません。ご承知のとおり、現在の中薬審の常任部会には、その歴代局長の一人が入っています。記事であのように出てしまうとそのような方々(現職を含む)を逆に刺激しないか心配をしているところでもあります。(中略)また、北村先生が「大臣が慎重にやれといっているそうだ」とおっしゃっているとある企業の方から聞いていますが、ご承知のことかと思いますが、やれ女性の人権だ、カイロ会議だ、ということを全面に押し出して責めてこられた方に心理的な警戒感をもたれたというのが実際のところです。