2017年5月15日、女性議員有志らが小泉厚相宛「生涯を通じた女性の健康について」と題した要望書を手交したことは前回紹介したが、これに噛みついたのがドラッグマガジン主幹の安藤俊市氏だった。6月の「想うこと希うこと」の連載の中で「小泉純一郎厚生大臣への直訴状」というのを書いている。テーマは、ピルに関連したことだけでなく、健保法改正案、夫婦別姓などについても持論を展開しているが、ここでは、「その1 避妊ピルの認可は、エイズの治療薬が開発されてからに」を取り上げてみよう。異論反論を否定はしないが、政治家に影響力があると思われる方からの助言に政治家、官僚は尻込みしてしまうのだろうか。主張は次のように始まる。
避妊用ピルの認可について、参議院議員の堂本暁子氏ほか345人が名を連ねた要望書を厚生大臣に提出したとの報道を読んで、私の脳裏に蘇ったのは、10年前に私の事務所へ何回も押しかけてきて、「ドラマガの安藤主幹だけは説得してみせる」と豪語しながら、避妊用ピルの認可について協力するよう力説した女傑の台詞であった。
避妊用ピルの認可に奔走していたこの女性の客は、彼女の名誉のために書くのを遠慮するが、彼女が「生むか生まないかは女の権利ですし、するかしないかも女の自由です」と前置きして、女性の権利と自由についてまくしたてた台詞が、今でも私の脳裏にこびりついている。(中略)
小泉厚相を訪問した堂本暁子議員ほか345人と、私を説得に来た女傑とを同一視はしていないが、今回のように、『避妊用ピルの認可で厚相に要望書』と題する新聞記事を読むと、すぐあの跳ねっ返り女性の熱弁が脳裏に蘇ってしまう。つまり、彼女は、女性解放運動者ではなく、言うなれば自由奔放な浮気を目的としたピル解禁運動の推進論者であったことを思うと、現時点においての避妊用ピルの認可にあたっては、日本人の性道徳を汚させない配慮のもとに取り扱ってほしいと願っている。
また、中でも特に大切なことはエイズ感染の予防ではなかろうか。避妊用ピルの認可を女性の地位向上かのごとく唱えて販売させることは、エイズの予防上心配である。避妊用ピルの認可は拒否されるよう、小泉厚相に紙上を通じて直訴する次第である。(中略)
願わくば、ピルの認可は日本人の性道徳を誤らせるかもしれないし、それにも増してエイズの予防に大きな不安を残していることを思うと、小泉厚相は断固たる意思を持って、ピルの認可は拒否してほしいということをお願いしておく。