Facebook Twitter LINE
ピル承認秘話

ピル承認秘話
–わが国のピル承認がこれほど遅れた本当の理由(わけ)–
<第45話>横光克彦議員と質問主意書

第813号
ピル承認秘話
一般社団法人日本家族計画協会 会長
北村 邦夫

 質問主意書というのをご存じだろうか。国会議員は、国会開会中、議長を経由して内閣に対し文書で質問することができる。この文書を指している。国会法第74条には、議員はそれを議長に提出して承認を得る必要があること、同法第75条には、内閣は質問主意書を受け取った日から7日以内に答弁することが求められているとしている。
 ピルの承認がこれほどまでに遅れた理由が国にあるとしたら、この質問主意書に対する答弁を読み解くことが重要になる。筆者の記憶では、衆議院の横光克彦議員は、1993年11月と95年3月にこの質問主意書を土井たか子衆議院議長に提出している。かいつまんで、どのような答弁書が国から送られてきたかを書き留めておこう。
 93年には、

①製薬会社数社からピルの承認申請が出されているが、その可否は中央薬事審議会(以下「審議会」)で審議中であり、承認時期を特定できない。
②審議会では、ピルの使用がエイズの感染拡大に与える影響についても議論している。避妊は性行為に関して行われるものだから、性行為感染症と関連する面がある。
③コンドームによる避妊法は、実行が容易でその費用も安価であることから、適切に使用できれば避妊効果は高い。
④日本以外、エイズ問題でピルを中止するなど制限している国はない。
⑤低用量ピルの治験に参加した女性がその後どのような避妊法を行っているか把握していない。
⑥中高用量のホルモン配合剤については、避妊の効能又は効果は認められていない。
⑦審議会は慎重審議中であり、「日本独特の鎖国政策」を採っていることはない。

―などと答弁している。
 横光議員の質問を省略しているが、答弁から十分くみ取っていただけるのではないだろうか。
 95年にはかなり膨大な質問が向けられている。

①低用量ピルについては、1990年7月以降、9社から承認申請が行われている。審議内容については、公正かつ中立な審議を妨げることにならないよう非公表としている。
②93年5月に専門4団体から出された「ピルの早期認可を求めて」の要望書に対して回答は出していない。
③ピルには避妊以外にも様々な副効用があるとの研究報告があることは承知している。
④(北朝鮮もピル承認の動きがある。世界で最後の承認国になるかの問いに)先進諸国におけるピルの承認状況は概ね指摘される通りであるが、審議会において、その有効性、安全性等について慎重審議をしている。
⑤わが国でピルが未承認であることが途上国における効果的な人口施策推進の妨げになっているとは考えていない。



JFPA無料メルマガ登録をお願いいたします!

前の記事へ 次の記事へ

今月のページ

季節号・特集号

連載・コラム

バックナンバー