横浜での研修後、結婚を機に山形に戻り入局した山形大学。山形大学附属病院では、当時全国でも先がけて行われていた体外受精に10年近く携わり、子宮内膜症が不妊のネックになっていることにしばしば遭遇。生理痛を思春期から治療する有用性はうすうす分かりつつも、大学病院には生理痛のお嬢様はいらっしゃいません。
自分は、大切なイベントがある時には必ず生理もお休みしてくれたので助かっていました。出産後には月経痛ともさよならでき、娘たちには早くからLEPを連続で処方しました。幸せな時代になったと感じたものです。
2005年、山形市にクリニック開業後も、OCに関しては人工妊娠中絶手術後にオススメする程度でした。そんな対応が変わったのは、やはりLEPが世に出てからで、保険診療ということで保護者にもオススメしやすくなりましたが、その頃はまだほそぼそと―といった状況でした。
目覚めたのは、ヤーズフレックスが世に出て、仙台で塚田先生(アトラスレディースクリニック院長・東京)が「お母さんの関心は受験と孫の顔」とお話しくださってからです。これにしびれました。お母様方はLEPの味方になり、私自身もがっちりはまり、そしてジェミーナが発売となりました。仙台で八田先生(ジュノ・ヴェスタクリニック八田院長・松戸)から使い分けのお話をお聞きして、自信を持ってその方に最適なLEPを選んで処方するようになりました。山形では「お友達が飲んでいる、生理が来ない薬が欲しい」と言う方が増え、「夢のようなお薬ですね。娘がうらやましい」とお母様方からも言われ、うれしく思いました。
生理痛が全くない女性はほぼいませんので、今は緊急避妊後や人工妊娠中絶直後も1か月OC後、LEPやその他の治療につなげています。会員の皆さまには、何を今さらと笑われそうですね。
東北地区では、蓮尾先生(あおもり女性ヘルスケア研究所所長・青森)を中心に避妊教育ネットワークの先生が集うクローズドな会が仙台で年数回あります。本当に皆さま優しくて、つながった先生方には、ビギナーの頃からの質問に丁寧にお答えいただいたり資料まで頂いたり、私は救われてとても幸せです。
その後、一度目覚めたら処方量は激増し「私がLEPにはまるまで」というテーマで、LEPに及び腰の先生に向けてのお話まで各地でさせていただくことになりました。私がビギナーからたどった道をお伝えし、患者さんから喜ばれて、先生方のためにもなりますとお伝えするだけなのですが、まさか自分がそのような話をさせていただくようになるとは考えてもいませんでした。診療に加えて、学校講話、ラジオ出演、タウン誌『女性のミカタ』の月1回の連載など、女性の疾患や禁煙について地域でもお伝えしています。LEPに目覚めたことで世界が広がり、慌ただしくも楽しい毎日を送っています。
山形県はOC/LEP使用率も高いのですが、女性の喫煙率も低い県です。一昨年来は、種部先生(女性クリニックWe!TOYAMA代表:富山)にも刺激をいただきHPVワクチン接種推進の活動ばかりです。山形大学では新入生の健康診断で全ての新入生に接種の有無を対面で問診、未接種者には接種を勧めていただけました。他の大学や短大も、何らかの形で大学の保健室の先生と協力連携を進めています。高校生の1回目までの接種率は山形市では60%を超えてはいますが、20歳台では20%前後の年代もあり、まだまだです。
最近、過去の女性はどのように月経を乗り越えていたのだろうと考えずにはいられません。さらに幸せな時代になりますように、これからも励み続けたいと考えています。
避妊教育ネットワークに誘ってくださった井上先生(さとこ女性クリニック院長・山形)に感謝しつつ、山形県のSRHRは私どもでさらに盛り上げたいと思っています。女性がより幸せだと感じられる時代になりますように。高校大学卒業後、全国へ散っていくLEPユーザーたち。ネットワークの先生には、これからもお世話になるばかりでしょう。皆さま、どうか今後ともよろしくお願いいたします。