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OC/LEPが私の医師人生をどう変えたか

OC/LEPが私の医師人生をどう変えたか<15>
オンライン診療も活用し、OCへのアクセスをより簡単に

第807号

ゆいクリニック(沖縄県沖縄市) 島袋 史
ゆいクリニック(沖縄県沖縄市) 島袋 史

産婦人科診療所の開業

 2011年11月にゆいクリニックを開業してからもうすぐ10年になろうとしています。小児科医の夫(予防接種の外来を担当)と一緒に自宅兼診療所を建てました。
 わずか5床の小さな診療所で、現在年間200件前後のお産を扱っています。自然なお産と母子早期接触、母乳育児をサポートしたいという思いでクリニックを開業しました。それと同時に、禁煙外来や予期せぬ妊娠や避妊のサポートも始めました。

OC/LEP処方

 開業の動機はお産のサポートでしたが、開業してからは、予期せぬ妊娠に関わる機会が増えました。妊娠継続を希望していない人には、人工妊娠中絶手術を行った後に、避妊方法としてOCの処方や子宮内避妊具の選択肢、月経困難症の症状がある方にはLEPの処方を説明しています。
 開業してからは、一時期は院内処方でしたが、数年前からは保険診療は院外処方としています。LEP製剤については全ての種類を院外薬局にお願いして置いてもらえるようになり、患者さんの状況により、よりその人に合っていると思われる処方が選べるようになりました。また、OCは、現在では後発薬の一相性、三相性の2種類を院内処方しています。

OCの説明

 スタッフは、「指導者のための避妊と性感染症予防セミナー」などを受講し、避妊の知識を学んで患者さんへの指導がしっかりできるようになっています。ただ、ピル内服の注意点について説明をしているとかなり時間がとられるので、内服に関する説明は、咲江レディスクリニックで作成されたピルの使用と注意に関するDVDを活用させてもらっていて、忙しいスタッフの時間を節約できるため、とても助かっています。

避妊教育ネットワーク

 15年に沖縄で開催された「指導者のための避妊と性感染症予防セミナー」に参加した際に、避妊教育ネットワークについて教えていただき入会しました。
 ネットワークの中で多くの先生方に質問できるようになって、OC/LEP処方含めて、さまざまな情報共有ができ、多くの避妊の専門家の先生方とつながることができてありがたく思います。
 また、性教育に関わっている先生方からの情報を得ることができて、性教育のスライドも参考にさせてもらっています。実際に中学校や高校で性教育授業を行ったことはまだないですが、開業2年目から続けている地域の看護学校の授業で、割り当てられた内容から外れて、性教育の授業もさせてもらっていて好評です。今後中高生への性教育にも関われたらと思っています。

オンライン診療

 16年にオンライン診療を開始しました。当時はかなり高額な初期投資と月額数万円の利用料金を払って始めました。始めた動機は、遠方から来院して人工妊娠中絶手術を受けた方が、術後にOCでの避妊を継続できるようにしたかったからです。ただ、受診者が月に2名程度とあまりにも少なく、2年足らずでやめてしまいました。昨年から、より安価にオンライン診療が行える会社と契約できて、オンライン診療を再開しました。ほとんどOC処方のみを自費で行っているという状況です。できれば緊急避妊薬処方をオンライン診療で行いたいと思ったのですが、現在利用しているシステムの初回の登録手続が煩雑で、実現は無理だというのが今のところの結論です。現在のシステムの支払いがクレジットカード限定なので対象者も限られてしまいます。ただ、OCへのアクセスがより近くなるようにオンライン診療はとてもよいツールなので、今後も活用して、OCへのアクセスがより簡単にできるようにしていけたらと思っています。

今月の人

しまぶくろ・ふみ
1995年、琉球大学医学部卒。卒業1か月前に長女を出産。1年育児をした後の96年、琉球大学産婦人科医局入局。同大学附属病院および沖縄県内関連病院に勤務。2011年小児科医の夫と共にゆいクリニック開業。

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