12月20日、理化学研究所(理研)の国際共同研究チームが行った、ソーシャルメディアと若者のメンタルヘルスとの関係についての調査結果が発表されました。
従来の研究では、デジタル利用の形態が適切に区分されておらず、単一時点での分析が主でした。そこで今回、理研は、スマホの利用時間が特に長い「若年層」に焦点を当て、デジタル利用の形態を対面コミュニケーションとオンラインコミュニケーションに分けて調査を実施しました。この分析枠組みと、日常レベルでの観察が可能な経験サンプリング法を用いることにより、デジタル利用が幸福感・孤独感といった精神的健康指標との関連性を明らかにしています。
主な結果は、以下の3つです。
1.ソーシャルメディアの閲覧など一対多のオンラインコミュニケーションは、孤独感を増加させる
2.メッセージの直接的なやり取りなど一対一のオンラインコミュニケーションは、幸福感を増加させる
3.ソーシャルメディアやその他のスマートフォンアプリの利用などのデジタル利用の増加が、対面コミュニケーションの時間を減少させ、間接的に精神的健康に悪影響を与える
※対 象 者:日本の若年層418人(平均年齢:男性23.18歳、女性24.81歳)
※調査期間:21日間(毎日1回、被験者のデジタル利用状況と気分を記録)
この研究結果から、デジタル利用と若者の精神的健康に関する具体的な対策の必要性が示唆されます。例えば、教育現場における年齢に応じたデジタル機器使用のガイドライン策定や、精神的健康に配慮したアプリケーションの開発、さらにはデジタル利用の実態に即した細かな政策の立案があげられると、研究チームはまとめています。
本研究の詳細は、以下のサイトから確認いただけます。
▶ソーシャルメディアが精神的健康に与える影響を解明 理化学研究所