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「2040年を見据えた保健師活動のあり方」第1回検討会開催(厚労省)

第850号

 厚生労働省は12月25日、第1回「2040年を見据えた保健師活動のあり方に関する検討会」を開催。少子高齢化と地域によっては過疎化が進む中で、保健師に今後どのような役割が期待され、どのように変わっていくべきかという議論がスタートした。


保健師は今後どのように変わる必要があるのか

 保健師は地域における保健対策の主要な担い手として活躍しているが、その活動は、地域保健法及び同法第4条第1項の規定に基づき策定された「地域保健対策の推進に関する基本的な指針」(平成6年厚生省告示第374号。以下「地域保健指針」)により実施されている。また、保健師が地域保健対策においてその専門性を発揮できるよう、「地域における保健師の保健活動について」(平成25年4月19日厚生労働省健康局長通知。以下「保健師活動指針」)がすでに策定されている。
 一方、2040年までに人口構造や社会環境のさらなる変化が生じると予測されており、保健師が引き続き地域において保健活動を展開していくためには、自治体保健師の確保・育成を含め、施策の優先順位や重点化を意識し、効率的・効果的に保健活動を進めていく必要がある。厚生労働省は、保健師活動指針と一体的に運用されている現在の地域保健指針の内容との整合性を図るとともに、2040年を見据えた地域における保健師の保健活動のあり方を議論するために、この検討会を開催した。


総括保健師の配置、キャリア形成、マンパワーなどの課題も示される

 今回、検討された主な内容は、(1)今後の保健師の保健活動のあり方に関する論点整理及び方向性の検討、(2)地域保健指針との整合性を図るための検討―の2点。議論に先立ち事務局から、「地域における保健師の保健活動に関する指針の変遷」と「社会背景の変化と保健師活動等について」の説明が行われ、「今後に向けた提案」として以下の4項目が掲げられた。

【保健師活動等について今後に向けた提案】(検討会資料より要約)
1. 2040年以降の人口動態推計(小規模自治体の増加、生産年齢人口の減少によるマンパワー不足)等の将来像を見据え、まずは2040年までに必要な対応に関する検討が必要。
2. 人口規模によりチーム数の増減はあっても、規模にかかわらずマネジメントと実践のチーム機能は必要。マネジメント機能の確保が十分でない市町村では、その機能を持つための中堅人材の研修や県または広域での連携を強化する、また、実践する機能の確保が十分でない市町村では、交流人事での保健師の確保や他職種との分担など、地域の実情に応じた工夫を検討するべきではないか。
3. 災害をはじめとする健康危機管理および上記のマネジメント機能を果たすためにも、市町村における統括保健師の配置を一層推進すべきではないか。また、健康危機発生時に統括保健師の機能を発揮するために統括保健師間の組織横断的なネットワークの構築が必要ではないか。
4. 各地域の将来像を踏まえ、他の自治体の取り組みも参考に、2040年を見据えた保健師活動の体制を構築する必要があるのではないか。

 この事務局の説明に引き続き、検討会構成員の互選により、春山早苗氏(自治医科大学看護学部教授)が座長に就き議論が交わされた。検討会構成員からは、統括保健師の位置付けが他職者に十分理解されていない可能性があるという指摘や、統括保健師の認定要件の明確化の必要性、保健師数がわずかな小規模自治体で管理期の保健師がいない場合のサポート体制の確立、そういった環境でのキャリア形成問題、事務業務のICT化の推進、常勤に限らず任期付きでの雇用も柔軟に行えるような体制の確立、地域医療との連携、および、保健師が将来的に求められる役割を自ら予測してマネジメント能力を高められるような環境づくりなどが、検討すべき課題として挙げられた。



「2040年を見据えた保健師活動のあり方に関する検討会」
構成員名簿(50音順)

家保 英隆 氏 全国衛生部長会会長(高知県理事 保健医療担当)・兼健康政策部医監
尾島 俊之 氏 浜松医科大学医学部 健康社会医学講座 教授
菅野 匡彦 氏 八王子市健康医療部部長(八王子市保健所 )
佐原 博之 氏 日本医師会常任理事
高山 美恵 氏 山梨県 富士河口湖町役場 子育て支援課こども家庭センター担当官
春山 早苗 氏 自治医科大学看護学部 教授
藤田 利枝 氏 全国保健所長会会長(久留米市保健所長)
前田  香 氏 全国保健師長会会長(福島県保健福祉部健康づくり推進課主幹)
松本 珠実 氏 日本看護協会常任理事(保健師担当)




詳しくはコチラ
▶2040 年を見据えた保健師活動のあり方に関する検討会 厚生労働省

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