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はたがや日和~JFPA相談室へようこそ!~【848号】

第848号

 東京都不妊・不育ホットライン相談員 関口 淳子

 ご相談者は結婚3年目の42歳。結婚直後から妊活を始め、今は体外受精にもチャレンジしているが、自然妊娠後と体外受精後の計4回流産を繰り返していて、自然妊娠もできるので不妊とは言えないと自分では思っているとのこと。そこで不育を疑って専門病院で検査を受けてみたけれど、流産の原因になりそうな結果は出ず、不育の医師からは治療も必要ないと言われたそうです。「不妊治療の医師も流産を繰り返すことについて何も説明してくれない、流産した胎児の検査も何度かしたけれど、染色体異常ではなかったこともあった。次はPGT-A(着床前遺伝学的検査)も考えているが、自分は不妊なのか不育なのか分からなくなってきて、体外受精の保険適用もあと1回しか残っていないし、これから自分は不妊と不育のどちらに進むべきか、どうしたら良いのか?」と相当混乱された様子でした。
 ご本人がとても丁寧に詳しく説明してくださったので、混乱する様子が私にもよく理解・共感することができました。流産を繰り返してつらい中でいろいろと自分で調べ考えながら行動されている様子に敬意を覚えました。私からは、不育の検査をしても原因が分からない場合や、原因が分かっても治療法が無いものもあること、PGT-A検査で卵を選んでも流産したり子宮に戻せる卵が見つからなかったりすることもあること、どうして流産するのかについては、まだ分からないことが多く、不妊であっても不育であっても結果的に何度も体外受精等をする方向になることなど、やりとりしながら今の不妊治療の現状としてお話ししました。
 「やっぱりそうなんですね、先生が何も言ってくれないわけがやっと分かりました」と納得されていましたが、私は「今やれることは全てやって、ちゃんと考えていらっしゃる。どうしたら良いのか分からないのは、もどかしいですよね」とお伝えしました。「不妊と不育のどちらの選択肢を選ぶことばかり考えていたが、どちらも結果は同じとも考えられるし、絶対に流産しない治療法があるわけではないことにも気付けた」とお話ししてくださいました。つらさのあまりお母さまに相談したこともあったそうですが、そんな不自然なことをするからだ、流産ばかり考えないでもっとリラックスしたら等々のアドバイスに、相談どころか逆に傷付いてがっかりしてしまったとのこと。他にも相談してみたが、医師たちは皆自分の病院でやってみれば良いと言うし、他の医療者や相談窓口からも自分の所にどうぞと言われて、かえって混乱してしまったそうです。
 やはりこの業界(ご本人が少し笑いながら)に詳しい人に相談しないとダメだし、詳しくてどことも利害関係がない、どこにもつながっていない人に相談したかったとのことでした。私たち相談員は、不妊の経験者で、当事者としてお話を伺っていることをお伝えして終話になりました。相談者と気持ちや考えを共有し現状をお伝えする大切さを再認識しました。


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