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はたがや日和~JFPA相談室へようこそ!~【845号】

第845号

 東京都不妊・不育ホットライン相談員 小林 美貴

 不妊治療はストレスを感じることが多い治療です。東京都不妊・不育ホットラインにお電話をいただく中でも「気持ちが落ち込んでしょうがない、ずっと同じことをぐるぐると考えてしまう、何か自分でできるストレス解消法みたいなものを教えて」と聞かれることがあります。
 私は専門家ではありません。ですから「これでストレス解消できます!」というようなアドバイスはできませんから、逆に「何か好きなものとか癒されるものってありますか?」とお聞きするようにしています。そのことで話を広げていくうちに、だんだんと「あれが好き」「これをやりたかった」と会話が弾み、いっときとはいえ、不妊治療でいっぱいだった頭の中に違う景色が浮かんでいる様子が伝わってきたりします。
 最近いただいた電話で同様にお尋ねしたところ「ペットが心の支えで癒やしです」という方や「今はペットが飼えないので動物の動画を見ると癒やされます」とおっしゃる方がいて、わが家にも愛猫がいるので動物の話題で盛り上がることがありました。
 前者の方は「ペットが来る前のメンタルはもっとひどくて、本当に鬱(うつ)みたいでした。おかげで今は随分マシになりました。以前ならここに電話もできなかった、本当にあの子のおかげです」とペット愛を熱く語ってくださいました。
 後者の方は「今は動画を見るだけですが、いつか保護された子を飼いたいです」とおっしゃり、いろいろとお話ししているうちに最後には「もしも本当に子どもを諦めなければならなくなったら、そのときは…動物保護の活動をしたいです」という力強い言葉で電話を切ってくださいました。
 お二人とも、不妊治療がうまくいかないという現実は変わっていませんが、好きなもの、夢中になれるものを口にするうちに、最初は暗かった声が最後には明るい声になっていました。私が励ましたからではなく、ご自身の内から出てきた思いを言葉にしているその声に、ご自身の心が反応したのではないでしょうか。
 動物が苦手な方や事情や信条がある方もいらっしゃるので「ペットを飼ったほうが良い」と勧めたいわけではありません(むしろ「子どもの代わり」で「かわいそう」とか「痛い」などと言われることもありますし)。ペットだけではなく推しだったり趣味だったり、その人それぞれにとっての心のよりどころのようなものがあれば、いっときつらい気持ちをしのげるのではないかと思えるのです。肝心なのは一番苦しい時を脱すること。「今」解決はしないけれど、またいつか元の自分らしい自分に戻れる時のための強い味方。そう思えて私の方が励まされあたたかい気持ちになりました。
 もちろん、そこまで好きなものがない、今は何もしたくない、という方もいるでしょう。それもありです。何もしないのが必要な時なのかもと思って、堂々と休息を取ってください(それでも鬱症状があるかもと不安な方は専門家に相談してくださいね)。


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