本会には「思春期・FP相談LINE」と「避妊のためのピル・アフターピル相談室」「東京都不妊・不育ホットライン」があります。その中で思春期相談では、思春期世代の男女からの主に性にまつわる相談を、ピル・アフターピル相談室では、思春期~閉経の年代の方から緊急避妊や低用量ピルについての相談を受けています。
このたび縁あって、東京都の研修会で「緊急避妊の相談」についてお話しする機会をいただきました。せっかくお話しさせていただくのですから、日頃のやりとりを生かそうとLINE相談の画面と相談カードを読み返し、事例をさかのぼることにしました。
緊急避妊の相談は、最終月経や避妊ができなかった性交の時間や、相談者への確認事項、緊急避妊薬を入手するためのアクセス方法など、説明する内容が共通している部分が比較的多いので、ワンパターンになりがちです。ですが、相談者の状況に応じて、回答を変化させている点に着目して振り返り、特徴あるものを書き出してメモを作りました。要点を整理し、仲間のアドバイスも得ながらパワーポイントと解説原稿を作りました。
緊急避妊は日々相談を受けている私たちや、きちんと情報を得る機会のあった人にとっては当たり前のことでも、相談者はこれまで学校や周りの大人から教えてもらう機会がなかったため、急に直面した妊娠の可能性に混乱してしまいます。インターネット上には玉石混交の情報が多く、こちらの相談窓口にたどり着いても、勇気を出して相談してくる相談者には大きな不安や多様な背景があること、それらに対して相談員がそれぞれに配慮し気を付けている視点や対応の工夫などを、資料作りの過程で改めて認識することができました。
特にデートDVなどの性暴力被害に対する支援の必要性はないか、相手の男性と対等なコミュニケーションが取れているかを判断することは、緊急避妊の相談に限らず大事な点です。しかし、相談している女性自身が被害者であることを認識していない場合など、タイムリミットのある限られた相談の中ではなかなか難しいと感じることもあります。
また、多くの緊急避妊の相談で聞かれるのは、妊娠の確率と緊急避妊が必要かどうかです。「妊娠の可能性が低い」という回答を期待してのことと推察しますが、女性が妊娠を望まない場合にまず必要なことは、確率に関わらず妊娠を回避するために行動することです。同じ心配を繰り返さないなど、相談室に関わることが、相談者のSRHRの向上へのスタートとなるために、この機会を逃さないよう、私たち相談員は対応を心掛けています。
避妊を男性任せにすることのリスクを知って、女性が主体的に避妊して自身を守ることの大切さを伝え、そして相談してくれた人がより良い対人関係を築いていってほしい。簡単なことではありませんが少しでも助けになれるよう自己研さんしなくてはと思いました。
最後に、今回の研修のチャンスを下さった東京都、そして準備を支えてくれた相談員にこの場をお借りして感謝申し上げます。