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はたがや日和~JFPA相談室へようこそ!~【843号】

第843号

 思春期・FP相談LINE/避妊のためのピル&アフターピル相談室 相談員 幸﨑 若菜

 2011年4月にJFPAの相談員になってから、かれこれ10年以上にわたり思春期相談とOC/ECの相談を受けています。病院勤務の助産師としては経験できない多くの気付き・学びを与えてもらえますし、その経験が本業でも生かせると思い、スケジュールを調整しながら続けています。
 この3月に初めてJFPAの相談員の肩書きで性教育講演に行きました。高校1・2年生の生徒さんが対象で、学校から依頼されたテーマは「性的同意、デートDV、パーソナルスペース、セクシュアル・ハラスメント、性の悩みに関する相談先の紹介、妊娠と避妊の正しい知識(性感染症)」。事前に学校側からの要望と学校・生徒の特性や課題について養護教諭から情報収集し、学校側が求める内容に加えて自身の専門性から提案できることを考え、講演の内容を組み立てました。
 私は、性暴力被害者支援看護職(SANE)の資格を持っているので、病院で性暴力被害者の対応を実践してきた経験を踏まえることにしました。生徒さんと一緒に社会が抱える無意識の思い込みについて考えるという狙いも織り込んで、学校からの提案にはなかったアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)についても触れることにしました。学校の特性から300人を超える生徒の97%は男性で、日頃女性だけの職場で働き、仕事で接する対象もほぼ女性であるという環境が大きく違う私だからこそ、届けられるメッセージがあるという自負があったのかもしれません。
 講演後に届いたアンケートに「女性目線の意見が多く、男性が悪いと感じるような表現が数点あり、男女平等とは反している。最近では、男性側の被害も増えているはずなのにそこを取り上げないのはなぜかと思いました。男子が多い場所で加害者にならないための教育だけでなく、被害者側にならないようにも教育するべきだと思いました」という意見を見つけました。自身の経験で語り過ぎてしまったことで、どんな人も被害者にも加害者にもなりうるというメッセージが弱くなっていたのです。男性の被害者への支援が手薄であることは被害者支援の課題の一つだと自覚していたにもかかわらず、です。他にも、1割程度ですが、私の態度や講演内容について改善すべき指摘が記載されており、わざわざ講師に伝えたいと思ってつづられたメッセージは、ブラッシュアップにはなくてはならない心に響く声でした。
 包括的性教育という言葉をよく耳にするようになっていますが、まだまだ日本での性教育は体系化できておらず、一期一会であることが多くなってしまっています。私自身もせっかくの機会だからと講演の内容を詰め込み過ぎてしまう傾向があり、本当に子どもが知りたい情報を届けられているのかと感じることもあります。他者の性教育の現場を見る機会もなかなか得られないまま個々に模索しているのが現状です。
 先日、「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」(ユネスコ・編)の翻訳を読み返しながら、私自身がここに書かれている知識・態度・スキルを獲得できているのかを改めて考えさせられました。性教育実践をする立場である私たち大人が、まずは包括的性教育について学び、日本での実現に向けて何をすべきかを考えて行動しなければならない―と生徒さんに気付かせてもらう貴重な体験になりました。


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  • 思春期・FP相談LINE
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  • 避妊のためのピル&アフターピル相談室 ☎ 03(3460)4112
     ※平日(10:00~16:00)

  • 東京都不妊・不育ホットライン ☎ 03(6407)8270
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