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ニュース・トピックス

全国大会によせて 
令和5年度 健やか親子21全国大会(母子保健家族計画全国大会)11月9日(木)~10日(金)開催

第836号


一般社団法人 日本家族計画協会 会長 北村 邦夫

 令和5年度健やか親子21全国大会(母子保健家族計画全国大会)が「親子の笑顔が明るい未来をつくる!~すべての親子が笑顔でいられる社会を目指して~」を大会テーマに、栃木県宇都宮市において開催されますことを心からお慶び申し上げます。今回は、こども家庭庁が主催する初めての大会ということもあり、今まで以上に身の引き締まる思いでおります。
 日頃、母子保健・家族計画や「健やか親子21」の推進にご尽力されておられるかたがたが全国各地から一堂に参集され、盛大に全国大会が開催されますことをうれしく存じております。またこのたび、本大会において栄えある表彰をお受けになられる皆さま方は、長年にわたって母子保健・家族計画の分野において多大なご尽力を賜ったかたがたであり、ここに深く感謝の意を表しますとともに、衷心よりお祝い申し上げます。
 新型コロナウイルス感染症の発生から間もなく4年余りが経過しようとしています。国は新型コロナウイルスの感染法上の分類を本年5月8日から、季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げたことにより、人流が一挙に増え、医療機関からの情報によれば、感染者数がじわじわと増えているとのことです。そのような状況下ではあっても、人と人とのつながりを唯一の楽しみとし、励みとして生きてきた者の一人としては、昨年度同様、開催県である栃木県の関係者の努力もあって、皆さまのお元気なお顔を直接拝見しながら、ご挨拶ができますことを心から感謝いたしております。

SRHRの向上を目指す運動団体として

 日本家族計画協会は、1954年の創立以来、家族計画の冠を有する唯一の公益性を有する団体の一つとして、当時はまだその用語すらありませんでしたが、SRHR(セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ、性と生殖に関する健康と権利)の向上を目指して今日まで取り組んでまいりました。創立当初117万件近くあった人工妊娠中絶届出件数が、直近2021年度には12万6,174件に減少するなどは、本会の取り組みの成果の一つではないかと自負しております。その一方で、22年の出生数は史上初めて80万人を割り、一人の女性が生涯産む子どもの平均数、いわゆる合計特殊出生率も1.26となっています。この数値は、人口が増えることも減ることもない置き換え水準2.1にはほど遠い状況にあります。日本家族計画協会では、こども家庭庁成育局母子保健課のお力添えを得て、7年ぶりに「男女の生活と意識に関する調査」という全国調査を実施しており、どのような結果が出てくるのか今から楽しみにしております。子どもを産むか、産まないかは、ひとえに国民の選択の結果であって、国が「産めよ、増やせよ」と旗振りをするものではございませんが、国が取り組もうとしておられる「異次元の少子化対策」の成果を私たちとしても見守りたいと考えております。
 さて、新型コロナウイルス感染症については未だ収束とは言えませんが、withコロナあるいはアフターコロナの時代にあって、SRHRを巡っては何かと変化に富んだ話題が山積しています。
 4月から文部科学省が全国の小学校、中学校、高校で本格的にスタートさせた「生命(いのち)の安全教育」。これは「性教育とは違う」という声もありますが、全国的には包括的性教育を発展させようとの動きが各地で起こっています。刑法で定められている性交同意年齢は、主要7か国(G7)の中でも最低の13歳でしたが、本年6月、16歳に引き上げらました。同意の有無にかかわらず、16歳未満との性行為は処罰されますが、同年代の恋愛まで処罰されるわけではありません。13〜15歳の場合の処罰の対象者は「5歳以上年上の相手」と定義されています。今回の法改正では、子どもを手なずけてコントロールする罪、グルーミングも新設されました。
 このような動きと連動して、性犯罪成立に要求される暴行・脅迫などの要件が廃止され、同意がない性行為は犯罪(不同意性交罪)との法改正が行われ7月13日から施行されています。さらに、被害にあってからすぐに訴え出るのは難しいことから、時効が5年延長され「不同意性交罪」は10年が15年に、「不同意わいせつ罪」は7年が12年になっています。しかも、被害者が18歳になるまで事実上、時効は適用されません。
 子宮頸(けい)がんを予防するHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンについては13年6月以来続いていた積極的接種勧奨の差し控えが昨年4月からなくなっただけでなく、1997年度から2006年度生まれの女子に対するキャッチアップ接種も始まっています。本年4月からは9価のHPVワクチンも定期接種として認められています。
 緊急避妊薬の薬局販売(OTC化)の是非が問われており、本年1月31日まで行われていた意見募集(パブリックコメント)の結果、4万6,312件の意見が寄せられ、賛成が9割以上を占めていました。これを受けて、来年の3月末まで、日本薬剤師会を中心に、試験的運用を踏まえた研究班が立ち上げられおり、現在進行中です。
 長年にわたって本会が求めて来た経口妊娠中絶薬も本年4月28日に製造販売承認が下り、これも試験的運用の感を免れることはできませんが、妊娠9週(63日)までという制限があるものの、投与が開始されています。いったい、日本人はこの経口妊娠中絶薬を受容していくのか、今後の動向が待たれるところです。

「プレコンセプションケアへの理解を深める」をテーマに家族計画研究集会を開催

 「成育医療等の提供に関する施策の総合的な推進に関する基本的な方針」の中では、母子保健や子育て支援に係る課題等を踏まえた上で、「性と健康の相談センター等によるプレコンセプションケアの推進」が明記されています。日本家族計画協会では、今日まで「プレコンセプションケアの推進」を図るべく各種事業に取り組んでまいりましたが、本大会における家族計画研究集会では、「プレコンセプションケア」をテーマとして取り上げ、参加された皆さんの理解をさらに深めていただけることを願って計画させていただきまました。「プレコンセプションケアとは」「プレコンセプションケアにおける若年女性への栄養指導」「プレコンセプションケアと女性の健康」をテーマとして、11月10日㈮午前10時30分から栃木県総合文化センター(栃木県宇都宮市)において開催されます家族計画研究集会にもぜひともお運びいただきますよう重ねてお願いし、ご挨拶とさせていただきます。



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