本会の活動は、同じ方向に向かう仲間の存在によって支えられています。「YELL~エール※」は、そんな仲間を紹介する連載(不定期)です。当面はJFPA思春期保健相談士®(以下思春期保健相談士)の皆さんにご登壇いただきます。
※「YELL~エール」…互いにエールを送り合うような関係でいたい、そんな思いを込めて連載タイトルをYELL(エール)としました。
――大貫さん、本日はよろしくお願いします。大貫さんが“シオリーヌ”という名の“性教育YouTuber”として活躍が際立ってきたころから、本会の北村会長は「シオリーヌはね~」というふうに言って、思春期保健セミナーの卒業生に檄(げき)を飛ばすという意味でよく話題に出しています。本会としてもすごくいい前例を作ってもらっているなと本当に感謝しているのですが、以前からSNSでの発信や講師活動をなさっていらした中で、思春期保健セミナーに参加しようと思ったきっかけは何かあったのですか?
大貫:自分が性教育に関心を持ち、そういったことを専門に活動していきたいなと思った時、まず初めに神奈川県助産師会の性教育の委員会に入らせていただいて、すでに活動されていた先輩助産師の方々から色々勉強させていただきました。そのつながりで少しずつ地域の方を対象にした講座などでお話しをさせていただくようになった時に、思春期に特化したサポートをするには、まだまだ基本的な知識や、助産師を養成する過程の中で習ってきたことだけでは足りないなと実感することがすごく増えてきまして、そういった知識ももっときちんと勉強し直したいという思いもありました。自分でインターネット検索をして調べていた時に、日本家族計画協会のセミナーのホームページを拝見して、ロールプレイや実践的なスキルを身に付けるというところをすごく重視されている印象がありましたので、こういうところに参加してみるのが良いのかもと思ったのがそもそものきっかけでした。
――なるほど。大貫さんが性教育をやりたいと思ったきっかけは?
大貫:新卒で総合病院の産婦人科で助産師として勤務を始めたのですが、病棟でお母さんたちと話しをしていて驚くことが多かったのです。妊娠や出産をいざ経験してみて初めて、自身が知らなかったことがたくさんあることに気付かれる方が本当に多くて、一番驚いたのが、産後のお母さんたちに産後の家族計画の避妊の話などをお伝えするときに、もうすでに出産を終えたお母さんたちから「避妊のことを、初めてちゃんと人から習いました」とびっくりされることがありまして、もうすでに出産というライフイベントを経験された方が、避妊のことを習ったことがないとおっしゃっていて、これってすごく遅いって感じたのです。妊娠・出産をきっかけに産婦人科に来て、そこで助産師と会って初めて知識を得るのでは遅いので、病棟で待っているだけではなく、もっと早い段階から必要な知識を身に付けていただけるような場に、もっと助産師やいろんな専門職が出て行かなきゃいけないのではないかと思って、そこからもっと思春期の早い段階で必要な知識を伝えなければいけないと考えるようになりました。
――思春期を積極的にやりたいと思うきっかけがあって、そして色々やり方がある中でSNSがあったり、助産師として講演があったりという中で、本会のセミナーに出会った。セミナー参加の前と後で大貫さんの中で変わったことや、発信するのに思春期保健相談士という名称だったり、あるいは学んだことだったりが、何か“光る”経験ってありますか?
大貫:そうですね。思春期保健セミナーに参加して一番良かったなと思ったのは、自分が発信する内容に自信を持てたというか、自分で教科書を読んだり勉強したりしているだけでは、本当にこういう発信の内容で合っているのだろうか? とか、根拠のあるお話しがきちんとできているのだろうか? とか、そういった不安が少しあったのですけれど、セミナーを受けた後は、いろんな先生方から聞いたお話しだったりとか、他の方とのグループワークの中で話し合ったことだったりとか、いろんな人たちの価値観とか知識というものを通じての意見を伝えることができるようになったので、そういった意味では自信を持ってというか、安心感を持ってこれまで以上に活動に取り組んでいくことができるようになったというのは、自分にとって良かったことだなと思っています。
――SNSはYouTubeだけですか? 他には何かやってらっしゃいますか?
大貫:TwitterやInstagramなども利用しています。
――若い方には講演会よりもSNSの方がずっと浸透は早いのでしょうか?
大貫:本当にそれぞれの良し悪しがあると思います。SNSを使った発信は、多くの方にすぐに届くというのが一番のメリットだと思っているので、幅広く基本的な知識をまずは届けたいという意味ではSNSはすごく便利だと思いますし、実際に見てくださっている視聴者さんから届く声としては「自宅などのプライベートな空間で、一人でこっそり見られるというのがすごく安心感がある」という話もありましたので、子どもたちが自分のペースで気軽に見られるツールで学んでもらえるというのは、SNSを活用しての情報発信の大きなメリットだと思います。一方で、学校規模などの講演会でお伝えする場合だと、個々人の事情に応じたその子に必要な情報というのをきちんと届けたりだとか、あとは継続的なサポート、何か一つ不安なことがあったときに、その子が一つアクションを起こしてその後にあったことを、じゃあまた次のことも一緒に考えて―という継続しての支援というのは、インターネット上の関係ではなかなかできないことだったりするので、それぞれの場所にいる人たちがそれぞれのメリットを生かしながら、いろんな方法でサポートを提供できるというのが何より必要なことかな? と思っていますので、どちらかが良いということではなく、どちらも頑張っていくのが大事だと思っています。
――そうですね。本会家族計画研究センターでは2年前から電話相談をお休みして、LINEでの相談に切り替えました。LINE相談の良さもあります。夜中でも相談の文章を書けるとか、本センターの電話相談時間外に悩みを吐露(とろ)できる利点もありますが、相談員さんたちには逆のストレスがあって「声を聞きたい」「今、直接伝えたい」という場面がしばしばありますし、その方の語彙力に頼らざるを得ないという点もあります。相談者が何を不安に思っているかが分かるまでに時間がかかってしまうときもありますし…本当に双方のメリット・デメリットがあります。
大貫:そう思います。専門職の方も、どのアプローチの方が得意だとか人によって違うと思うので、それぞれ自分の強みを生かしながら子どもたちにとって選択肢が増えるような形になるのが一番望ましいと思っています。
――YouTubeについてお伺いします。昔はテレビ局まで行かなければ画面で自分の意見を言うってことができなかった世代にとっては魔法のツールみたいに感じて、すごく画期的な道具に思えるので、やりたいと思っている人はきっとたくさんいると思うのですよね。だからその意思がはっきりしていればYouTubeもいいツールということですよね?
大貫:本当にそう思います。今、自分の思いや意思を世の中に発信するというハードルは本当に下がっていると思いますし、スマホ一つあればYouTubeでもTik Tokでも何でも始められる時代ですので、そういった思いが実現しやすい環境にはなっていると思います。
――だからこそ玉石混淆(こんこう)というか、みんな発信できてしまうではないですか。例えば本会の電話相談も、今はLINE相談なんですが、ある意味“老舗”というところで、学校の先生が紹介してくれるようなサイトになっていたりするわけです。そうすると“石”を拾ってきちゃった子どもたちの相談の“軌道修正”をする仕事が結構多かったりするのです。大貫さんは発信する側として、注意していることや工夫していることなどはありますか?
大貫:本当におっしゃる通りで、今どんな立場の人でも情報発信が可能になっているからこそ、自分自身も「本当にこの情報は根拠のあるものだろうか?」とか、「この情報を受け取った子たちにとって本当に利益になる情報をきちんと伝えることができているだろうか?」というのは自分に問い続けていかなくてはならないと考えていますので、自分も継続して勉強し続けていかなければと感じています。今はそこが個人の倫理観や誠実さのようなものに委ねられてしまっている点は大きな問題で、それを専門職同士で、横のつながりをきちんと持ち、お互い研鑽し合っていけるような環境を作っていくことも重要だと思っています。
――そうすると、では本会のような組織はそういった機会を作ることも仕事になるかもしれませんね。
大貫:そう思います。世の中は情報がどんどんアップデートされていきますので、定期的に学び直しの機会をいただけるのはすごく重要だなと。
――資格を付与するというのは責任が伴うということですので、本会としても知識のアップグレードだけでなく、発信するツールについてもアップグレードは必要ですよね。
大貫:そう思います。先程おっしゃられたように信用できる情報、できない情報が今あまたあるような状況の中で、医師や助産師などの専門職や、きちんと学んできている人たちが発信力を身につけていくことが本当に重要だなと思っていて、そういった方ほど今は声がなかなか届かなかったりとか、反対にすごくお金があったりするけれども、発信しているコンテンツは若い子に見られるのはどうなの? というような内容のものを発信されている方の広告ばかりがすごく出てくるように感じるので、私たちが発信力を身に付けるのは今後本当に重要になってくると思います。
――本当ですね。思春期だからこそかもしれない課題ですね。
大貫:私たちの情報を見つけてもらうというのが一番の課題ですよね。
――大貫さん、先ほどから20分近くお話をする中で、すごく言葉も滑らかで、しゃべることにすごく慣れていらっしゃっていて“ただの助産師じゃないな”と思うのですけど、しゃべりについては何か秘密があったりしますか?
大貫:私は高校生の時に、アマチュアでお笑い芸人をしていたことがあります。大会に出場したりしていたことも、要因の一つかもしれないですし、その後も大学生の頃はずっとバンド活動をやっていたり、ゴスペルをやって歌を歌っていたり、人前で表現活動をするというのはずっと好きなことだったというのはあったかと思います。助産師として働いてからも、病棟の中で誰よりも母親学級が好きな助産師だったので、おしゃべりはずっと好きです。
――そもそもそういう素地がある方が性教育に興味を持ってくださって、そして思春期保健相談士になってくれて今があるという感じでしょうか。
大貫:もともとエンターテイメントが好きですね。
――大貫さんのステップの中に、本会の思春期保健セミナーがあったことはすごく光栄です。
大貫:うれしいです。そういうふうに言っていただけると。
――青春時代は、お笑いを目指しておられた時期もあったのですね。
大貫:そうなのですよ。高校生の時は、吉本興行が主催している高校生向けのM-1のような大会があるのです。“ハイスクールマンザイ”という。それに決勝進出したらテレビに出られるというのがありまして、決勝に行きたかったのですけれど準決勝で負けてしまいました。
――え、でも準決勝ですよね? すごい!
大貫:準決勝まで行ったのですけどテレビには出られなくて…でもその後もお笑いはすごく好きだったのでやりたいなと思って、一時はNSC(吉本総合芸能学院)に行くか、助産学校に行くか本気で悩んだのですけど、女性の芸人というのは、すごくまだまだ“いばらの道”だったりするので、なかなかその世界で戦うにはお笑いの才能がそこまで秀でていなかったので…それならちょっと面白い助産師ぐらいを目指そうと思って助産師学校に行きました。
――でも十分そのお笑いの素質は生かされていますよね。人前でしゃべるとか。
大貫:本当にそう思います。お笑いの世界では一花咲かせられなかったですけど。
――でもこっちの世界なら、笑いはとれますから今からでも。だから選択肢は間違ってなかったと思います。
大貫:良かったです。エンターテインメントのできる助産師として頑張ろうと今は思っています。
――この4月から大学院生になって、会社も立ち上げていらっしゃる?
大貫:はい。去年の10月に会社を作って、今年4月から大学院生になりました。
――ではまずは大学院の方から、何を改めて学ばれるのですか?
大貫:そうですね、まだ研究テーマなどは具体的に定められているわけではないのですが、先ほどお話しをしていたように、今、性教育の発信とかを多くの人ができるようになってきた中において、その発信の質や伝える情報の質をどうやって維持するのか? どうやって高い質を保持するのか? というところが今すごく自分にとって関心のある事柄なので、今既に性教育をやっている人たちがどんな形で情報収集をしているのか? とか、どうやってスキルを養成しているのか? みたいなところは、これから学んでいきたいなと思っています。これから先、性教育を伝える側になりたいと考えていたりする方々が、例えばユースフレンドリーな姿勢や態度というのをどうやって身に付けるのか? とか、そういったところに役立つような活動をできたらいいなという思いがあって、一回きちっと勉強しようと思っています。
――そういうのを本当にセミナーのコマに入れたいです。入れなきゃダメですよね。
大貫:必要なことだと思います。
――私はYouTubeの「ユ」の字も触ったことがないので。だから私がそういうセミナーの中で訴えてもあんまり響かないけど、大貫さんのように「シオリーヌ」といって、この業界のYouTuberさんとして名を馳せている方が、情報の選択の難しさとかそういうことを発信してくれたら、それはすごいパワーになりますし意義があると思います。
大貫:そう言っていただける機会がたまに私もありまして、自分が活動してきたからこそ伝えられることだったりとか、例えば今後助産師になりたいと思っている人とか、性教育を伝える側になりたいと思っていたりする人に対して何かお伝えできることがあるのではないかな―と自分も少し思っていて、今までは自分が何となくこういうことをやったらいいのではないかな? とか、こういうことが効果的なんじゃないかな? と思うようなことを手探りで、実践を繰り返すばかりだったのですが、それを少し系統立てて、人にもお伝えできるような形で、きちんと伝えられる人になりたいな―という思いがあって、では一回ちゃんと勉強しようというふうになっているのが今という感じです。
――研究生活とても楽しみにしています。
大貫:社会人向けの「長期履修制度」というのを申し込んでいます。働きながらゆっくり時間をかけて…。
――慌てることではないですもんね。ゆっくり、じっくり、その過程の中で何か発信できることもあるでしょうし。
大貫:そうですね。4年くらいかけてゆっくり勉強しようかなと思っています。
――YouTubeとかSNSってコメントも入ってきますか?
大貫:はい、みんな書いてくれます。
――いろんなコメントがある中で、例えば大貫さんがYouTubeをやっていて良かったというコメント・エピソードを一つ。
大貫:そうですね、すごく自分もハッとしたのは性教育を発信し始めて、私の動画を見てくださっている方が、初めてパートナーができたという時に、そのパートナーと今自分たちが性行為をするのに適切な時期なのかどうか? とか、するのであればどんな避妊法を使って、それにかかるお金は誰が負担するのか? ということをパートナーと話し合いました―と教えてくれた子がいたのですね。
――うれしいことですね。
大貫:そこで最初は話し出すのに勇気がいったけれども、でも自分の真剣さにパートナーも分かってくれて、安心できる話し合いができたのです―ということを教えてくれた時に、今、性教育に反対する大人の方々って、「寝た子を起こすな」「あんまり早くに伝えても」というようなことをよくおっしゃいますが、大人が誠実に向き合ってきちんと情報を伝えれば、子どもたちは、それを自分の関係性に生かしていく力があるのだな―ということを私自身も教えてもらったような言葉だったので、自分はこういった活動をきちんと続けていきたいなと改めて思わせてもらった言葉でした。
――いいお話ですね。逆に、心が折れちゃったコメントなどはありますか?
大貫:そうですね、心は折れてはないのですけど、落ち込んだのは、初めに性教育を発信しだした時は特にですが“オンラインセクハラ”が大変でした。男性器の写真が送られてくるとかはザラですし、自分のセックスについての話をしろとか、マスターベーションをしているところを見せろとか、実技指導しに来てくださいとか。そんなのばっかりくるので、それはもう本当に、心は折れてはないですけどムカついたって感じですね。
――心が折れるほど私たちヤワではないのですけどね。でもムカつきますよね、あれ本当に。擦り切れる感じと時間とスペースを取られた悔しさは、本会でも経験しているのでよく分かります。
大貫:本当に。一回それを警察に相談したことがあるのですけど、これは今の法律で裁ける法律はないです―ということを言われて、そこでさらにもう一回落ち込んで帰ってきましたね。
――ストーカーとか被害が出ないとダメなのですってね。十分被害だと思いますけどね。
――大貫さん、思春期保健セミナーのコースⅢは、全部オンラインでした? 会場開催でした?
大貫:会場でした。コロナ禍より前でしたので。成田でホテルに泊まって。
――どうでしたか? 泊り込みでセミナーなんて今時あまりないですけれど。
大貫:学生みたい! と思いました。
――宿泊セミナーならではの、良かったところとかはありましたか?
大貫:そうですね。同じグループの方などと連日密なディスカッションができたのは、結構いい経験だったなと思います。そこで同じグループだった方で今でも私のYouTubeを見てくださる方もいらっしゃったり、時々コメントくださったりするのですよね。そういうふうに同じ志を持っている方とのつながりができるというのは私にとってもすごく楽しいというか、いい経験でした。
――それコースⅢあるあるですね。同じグループになった人ってずっとつながりが深いみたいです。コロナ禍ではコースⅠからⅢまでオンライン開催となりました。主催者側としても断腸の思いでのオンライン開催でしたが、つながりがなかなか持てない中、有志がLINEグループ作ったり、Facebookでグループ作ってくださったりして…それが精一杯だったのですけど、これから何とかその横のつながり、このセミナーの良さを生かしていけたらなと思っています。
大貫:オンラインが普及することで助かる方も間違いなくたくさんいるだろうなと思っていて、私は子どもを出産したばかりなので、いろんな講座でオンラインの講座があるとすごくうれしいのですよね。
――そうなのです。だから多分、コロナ禍がなければ思春期保健相談士になれなかった方は何人かいらっしゃると思うのです。
大貫:そう思います。
――対面ならではの良さもあり、オンラインの良さもあり、先程の相談ツールの良し悪しではないですが、それを本会がうまくコントロールしていかなければ―というのは課題の一つではあります。
大貫:なるほど。
――昨年10月に立ち上げた会社は思春期関連ですか?
大貫:2本柱なのですが、今まで自分がやってきた性教育の活動や若者に向けての情報発信というのをさらに精力的にやっていこうというのが一つと、あともう一つは自分が出産をしたことをきっかけに産後ケアの事業にすごく関心を持つようになりまして、自分自身も産後すぐに仕事に復帰して産後2か月しか休んでないのですが、そこで社会に子育てを支えてくれる仕組みがあることは本当に重要だなと自分で痛感したので、少しでもお母さんや赤ちゃんのサポートができるような仕事もこれからしていきたい―という思いもあり、「性教育」と「産後ケア」の2本立てを頑張ろうという感じで法人化したというところです。お母さんたちをサポートしていく中で、お子さんに向けた性教育とか、そういったところでもつながってくることがたくさんあるなというふうに思っているので、本当に広くSRHR(セクシュアル・リプロダクティブヘルス/ライツ)を普及させよう―というのがモットーの会社という感じです。
――でもそれって、日本家族計画協会のコンセプトに近いというか、ほぼほぼ一緒ですよね。
大貫:はい、そう思います。
――要するに、どの世代のケアを怠っても子どもに影響を及ぼすし、子ども時代の経験は大人に、大人の経験は老人期に…というふうに全部つながっていることを考えると、どの世代のケアも、対思春期だったり対産後ケアだったりというふうにつながりはありますよね。
大貫:そう思います。
――大貫さんの、会社を起こそうとか、大学行こうとか、YouTubeしようというパワーってどこからくるのでしょうか? その前のお笑いを目指そうもそうですけど。
大貫:「その行動の原動力は何ですか?」ってよく聞いていただくのですが、これはもう性格としか言いようがないなと思っていて、たぶんじっとしていられない性分だからというのが一番的確な答えなのだと思います。やりたいと思ったことは、やらないと気が済まないのですよ。やりたいことが多すぎて人生が足りないとずっと言っています。
――大貫さんの話をたくさん聞かせていただいて楽しかったのですけれど、これから思春期保健相談士になる人に向けてメッセージ、あるいは期待することなど大貫さんの立場からお言葉をいただきたいのですが。
大貫:私が思春期保健相談士のセミナーに参加して良かったことは、一から勉強をし直せたことと、若者と接する時にまず身に付けておきたい態度やスキルを学べたことです。助産師や様々な専門職になる過程で、性教育に特化してきちんと学べる機会は、本当にまだまだ少ないと思うので、そういったことに関心を持った方は、その第一歩としてここに参加していただくというのは、すごくメリットがあるのではないかなと思います。あと、北村先生がおっしゃった通り、この資格を取っただけでは意味ないよ―というのは、たぶん北村先生がこのセミナーの中でもおっしゃると思うのですが、それをどのように形にしていくのか―というのを、本当に色々なやり方があると思っていて、私の活動はあくまでも一例だと思います。いろんな思いを持つ大人が、それぞれの地域や、それぞれの場所から思いを広げていくことで、日本全体が子どもたちにとって安心できる場所になっていくということにつながると思いますので、それぞれの持ち場で頑張りましょう! ということをお伝えしたいと思います。
――いいメッセージありがとうございます! 大貫さんが形にしていく過程を、大貫さん自身が楽しんでいるようにお見受けします。
大貫:楽しいです。
――まずそこからですかね。
大貫:私、慣れちゃうことは、たぶんすごく嫌いだと思います。3年ぐらいすると仕事を変えたくなっちゃうのですよね。昔からそうなのですよ。3年ぐらいするとちょっとルーティンワークになってきちゃうというか、同じ感じになってきたなというふうに思うと何かにチャレンジしたくなる、多分そういう性格をしていて、そういったタイミングでYouTubeを始めたり、会社にしてみたり、大学に行ってみたりというような挑戦を自分も続けているのかなというふうに思います。
――では3年後、また何か違うことを始めている可能性がありますね。
大貫:いや、あると思いますね。
――大貫さん、本日はありがとうございました。