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ニュース・トピックス

世界人口白書2023―80億人の命、無限の可能性:権利と選択の実現に向けて

第829号

 4月19日、国連人口基金(UNFPA)は世界人口白書2023「80億人の命、無限の可能性:権利と選択の実現に向けて」を発表した。2022年11月には全世界の人口が80億を超え、かつてない水準に達したが、本白書では、「問題は人口が多過ぎるのか、または少な過ぎるのかではなく、問うべきは望む数の子どもを希望する間隔で産むことができるという基本的人権を、すべての人が行使できているかどうかである」と訴えている。

 UNFPA事務局長ナタリア・カネム氏は声明で、「新型コロナウイルスの感染拡大から、歴史的な規模の人口移動を引き起こす気候変動の破滅的な状況まで、いくつもの危機が重なり合い、悪化する最中に、世界人口は80億に到達した。低迷する経済、紛争、食糧・エネルギー不足が世界のあらゆる場所に脅威をもたらし、未来に暗い影を落としている。世界的にみると、7人に6人以上の割合で、人々は将来に不安を感じていると言う。こうした懸念の中、多くの国で出生率が歴史的な低さとなっているにもかかわらず、人口が史上最多の80億となったことを、迫りくる危機の前触れと捉えるのはあまりにも単純である。人を中心に据えた新たな取り組み方と新たな見方で、人口を捉える時が来ている。懸念ばかりに注目するのではなく、人口の達成目標から人口動態の強靭性に目を向け、歴史上繰り返されてきた、そしてこれからも続く人口と出生率の変動に対応することを目指す必要がある。これは、人口統計と出生率だけでなく、それ以外の様々なデータ集計に投資することが重要だということを意味する」と述べた。

主な調査結果
  • 世界人口は2022年11月15日に80億人に到達した。妊産婦死亡率は低下し、平均余命は1990年以降で10歳近く延びている
  • 世界人口に関する報道や話題に接した人々は、人口が多すぎると考える傾向がより顕著であった
  • 世界人口の3分の2が少子化社会で暮らす一方、2050年までに予測される人口増加の半分はアフリカ・アジアの8か国によるものとなり、国別人口ランキングが大きく入れ替わると推定されている
  • 気候変動の主要な原因は人口の増加ではなく、80億人のうち55億人は、二酸化炭素排出量に大きな影響を及ぼすにはあまりにも低い所得(1日10ドルほど)で暮らしている
  • 少子高齢化社会における経済状況の維持には、女性に多くの子どもを持つよう推奨するよりも、労働市場のジェンダー平等を推進する方が効果的である
  • 女性や少女の24%は性行為を拒むことができず、11%は避妊に関する決定権を持っていない
  • 2023年の世界人口:80億4500万人で、昨年に比べ7600万人増加
  • 2023年の日本人口:1億2330万人で世界第12位(2022年は1億2560万人で世界第11位) 。2022年に比べ230万人減少

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