2022年11月18日に行われた第41回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会で、現在任意接種で使用されている9価HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンを定期接種で使用するワクチンに位置付ける、予防接種法実施規則(省令)の改正案が了承された。今後、23年4月1日からの施行に向け、省令交付などの必要な手続きが進められる。
現在定期接種で使用されている2価・4価ワクチンは、約70%の子宮頸(けい)がんに関与しているHPV16、18型の予防に効果があり、4価はさらに尖圭(せんけい)コンジローマの原因となる6、11型にも対応している。9価ワクチンはそれに31、33、45、52、58型が加わり、子宮頸部上皮内腫瘍、上皮内腺がん、外陰上皮内腫瘍、腟(ちつ)上皮内腫瘍など、検診で早期発見が難しい腫瘍の予防が期待される。接種方法や標準的な接種期間は4価ワクチンと同様、初回接種の2か月後と6か月後に追加接種(計3回)。対象者は小学6年生(12歳)から高校1年生(16歳)相当とする。
キャッチアップ接種も含め、既に2価・4価ワクチンを接種した者については、同じワクチンでの接種完了が原則とされているが、適切な情報提供の上、9価ワクチンの交互接種も可能となる。
9価定期接種化に伴い、4月までの接種控えが懸念されており、本会クリニックでも話題になっている。セクシュアルデビューの可能性のある女子に対しては、丁寧に説明をした上で、4月を待たずに4価ワクチンの接種を推奨するケースもある。キャッチアップ接種対象世代の来院者は、院内の啓発ポスターを見て自分が対象であると気付き、それをきっかけとして接種をするケースも少なくなく、3年間の時限措置の聞になるべく早く接種してもらえるよう、必要な情報提供を継続して実施している。
今後は、2回接種の導入や、男女聞におけるHPVの移行、男性の咽頭がんリスクの軽減などの面から、男性の定期接種についても検討が進められるとみられる。