8月30日、来年4月に発足する「こども家庭庁」の2023年度予算案の概算要求が公表されました。要求額は一般会計と特別会計を合わせて4兆7,510億円となりました。主な概要は下記のとおりです。 *より詳しい情報は内閣官房ホームページを参照。
(2023年度概算要求額)事項要求※1
23年4月1日に施行されるこども基本法(22年法律第77号)においては、こども施策を総合的に推進するためのこども大綱の策定、こども基本法及び児童の権利に関する条約の趣旨や内容についての周知、国や地方自治体がこども施策の策定等を行うに当たってのこども等の意見反映に関する規定が設けられた。
こども基本法を着実に施行・推進することにより、強い司令塔機能を発揮するとともに、常にこどもの視点に立った施策の企画立案・実施に取り組む。
1.こども大綱の策定・推進【新規】
2.こども基本法・児童の権利に関する条約の普及啓発【新規】
3.こどもの意見聴取と政策への反映【新規】
4.こども政策に関するデータ・統計とEBPM(証拠に基づく政策立案)の充実【新規】
5,430億円と事項要求
少子化は予想を上回るペースで進む極めて危機的な状況にあり、我が国の社会経済に多大な影響を及ぼす有事というべき課題である。個々人が結婚やこどもについての希望を実現できる社会をつくるため、総合的な少子化対策を推進する方策として、地方自治体が取り組む結婚支援、結婚・子育てに温かい社会づくり・機運醸成の取組を支援するとともに、国民全体への情報発信により社会的機運の醸成に取り組む。
すべてのこどもが健やかに育つ社会の実現を目指し、成育基本法及び母子保健に係る様々な取組を推進する国民運動計画である「健やか親子21(第2次)」等を基盤とし、地域における妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援等を推進する。
1.地域の実情や課題に応じた少子化対策
60億円
⑴地域少子化対策重点推進交付金【一部推進枠※2】
2.子育て世帯を優しく包み込む社会的機運の醸成のための情報発信
2.5億円
⑴少子化に対する国民全体の危機感共有のための情報発信等【推進枠】
3.妊娠期から子育て期の包括的な切れ目のない支援
171億円
⑴プレコンセプションケアを含む性や妊娠に関する正しい知識の普及や性と健康の相談支援
⑵若年妊婦等への相談等支援【一部推進枠】
⑶死産・流産等を経験された方や不妊症・不育症に対する相談支援等
⑷産前・産後サポート事業、産後ケア事業の整備の推進
⑸低所得の妊婦に対する初回産科受診料の支援【新規】【推進枠】
⑹母子保健対策の強化【一部推進枠】
⑺低出生体重児等多様性に配慮した分かりやすい母子保健情報の充実【新規】
4.高等教育の無償化
5,196億円と事項要求
⑴高等教育の修学支援新制度の実施
3兆3,604億円と事項要求
子ども・子育て支援新制度の推進による幼児期の学校教育、保育、地域の子ども・子育て支援の充実、幼児教育・保育の無償化の実施により、こどもを産み育てやすい環境を整備する。
「新子育て安心プラン」に基づく保育の受け皿整備やこれに伴い必要となる保育人材の確保などについて、意欲的に取り組む地方自治体を積極的に支援する。また、「新・放課後子ども総合プラン」に基づく放課後児童クラブの受け皿整備を推進する。さらに、こどもの安全で安心な生活環境の整備のため、こどもを事故から守る取組を推進するとともに、万一事故が発生してしまった場合の公的保障制度の充実を図るほか、予防のためのこどもの死亡検証体制の整備に取り組む。
1.総合的な子育て支援
3兆3,557億円と事項要求
⑴子ども・子育て支援新制度の推進(年金特別会計に計上)【一部社会保障の充実】
①教育・保育、地域の子ども・子育て支援の充実(一部社会保障の充実)
ア.子どものための教育・保育給付等
イ.地域子ども・子育て支援事業
②企業主導による多様な就労形態等に対応した多様な保育の支援
ア.企業主導型保育事業
イ.企業主導型ベビーシッター利用者支援事業
ウ.中小企業子ども・子育て支援環境整備事業
③児童手当の支給
⑵保育の受け皿整備・保育人材の確保等【一部新規】【一部推進枠】
⑶認定こども園向け補助金の一元化【一部再掲】【一部推進枠】
⑷就学前の全てのこどもの育ちを支える指針の策定・普及等【新規】
2.こどもの居場所づくり支援
1,099億円の内数と事項要求
⑴放課後児童クラブの受け皿整備【一部事項要求】
⑵児童館における子育て支援等の取組の推進【一部新規】
⑶NPO等と連携したこどもの居場所づくり支援モデル事業の実施【新規】
⑷「こども食堂」に対する支援
3.こどもの安全・安心
23億円
⑴こども関連業務従事者の性犯罪歴等確認の仕組み(日本版DBS)の導入に向けた検討【新規】
⑵災害共済給付制度への加入促進のための機能強化【新規】
⑶予防のためのこどもの死亡検証体制整備
8,279億円
1.児童虐待防止対策・社会的養育の迅速かつ強力な推進
1,741億円
⑴児童虐待防止対策の推進【一部新規】【一部推進枠】
⑵社会的養育の充実【一部新規】【一部推進枠】【一部事項要求】
⑶児童福祉施設等の着実な整備
2.ひとり親家庭等の自立支援の推進【一部新規】【一部推進枠】
1,806億円
3.障害児支援体制の強化
4,721億円
⑴良質な障害児支援の確保
⑵地域における障害児支援体制の強化
⑶医療的ケア児等への支援の充実
4.地域におけるいじめ防止対策の体制構築の推進【新規】
5.ヤングケアラーなどの困難な状況にあるこども・家庭に対する支援
307億円の内数
⑴ヤングケアラーへの支援【一部新規】【一部推進枠】
⑵こどもの貧困対策の推進【一部推進枠】
⑶地域におけるこども・若者支援のための体制整備、人材育成
6.潜在的に支援が必要なこどもをアウトリーチ支援につなげるためのこどもデータ連携の推進【新規】
※1 事項要求については、概算要求時に内容等が決定していないため、金額を示さずに要求し、予算編成過程において追加要求する。
※2 推進枠=重要政策推進枠(特別枠)
小倉將信少子化担当大臣コメント
小倉少子化担当大臣は8月30日の記者会見で、初めてのこども家庭庁の概算要求について、「これまで行政の縦割りの中でしっかり支援の手が差し伸べられてこなかった一人一人の子どもの困難に対し、省庁を横断して支援の手を差し伸べていくことがこども家庭庁の大きな使命であり、そのような役割を果たせるだけの予算を計上し、将来的な子ども予算の倍増に向けて、これからの予算編成プロセスの中で反映していきたい」と述べた。