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ニュース・トピックス

2021年度 全国児童福祉主管課長会議 主な内容

第817号

 2022年3月22日、厚生労働省子ども家庭局は全国児童福祉主管課長会議(21年度)の資料と動画を公開しました。21年度の母子保健課関係の主な内容を抜粋して掲載します。
※詳しい情報は厚労省ホームページを参照。

01.妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援について

⑴産後ケア事業の全国展開等について
 産後ケア事業は、24年度末までの全国展開を目指すこととされている。地域の実情に応じた産後ケア事業の取組状況について、参考となる事例集をホームページに掲載している。
 21年度補正予算において、産後ケア事業の施設整備に係る国庫補助率を引上げるとともに、22年度予算案においても、非課税世帯に対する利用料減免、年中無休の受入体制を整備、補助単価を1自治体当たりから1か所当たりに見直しなどを盛り込んでいる。

⑵子育て世代包括支援センターの設置について
 21年4月1日時点の設置自治体数は、1,603市町村(設置率約92%)。21年度補正予算において、市区町村の「子育て世代包括支援センター」と「子ども家庭総合支援拠点」の組織を見直し、相談を行う機能を有する一体的な機関の整備を推進する(表1参照)。

表1 児童福祉法等の一部を改正する法律案の概要

⑶性と健康の相談センター事業について
 従来「生涯を通じた女性の健康支援事業」として、妊娠・出産をとりまく様々な悩み等へのサポート等を実施してきたが、22年度予算案では、「性と健康の相談センター事業」として、プレコンセプションケアを含め、男女問わず性や生殖に関する健康支援を総合的に推進し、ライフステージに応じた切れ目のない健康支援を実施する。その体制整備の手引書を作成しているところである。また、若者向けの性や妊娠に係る正しい知識の普及啓発及び健康支援のためのポータルサイトを22年度中に公開予定。

⑷母子保健対策強化事業等について
 22年度予算案では、両親学級のオンライン実施やSNSを活用したオンライン相談、母子保健に関する記録の電子化、各種健診に必要な備品(屈折検査機器等)の整備など、地域の実情に応じた母子保健対策の強化を図ることを目的とした「母子保健対策強化事業」を創設することとしているため、市区町村には積極的な活用をお願いする。

⑸産前・産後サポート事業について
 産前・産後サポート事業において、多胎児の育児経験者家族によるピアサポート事業や、多胎家庭等へ育児サポーターを派遣する多胎妊産婦サポーター等事業、父親等による交流会を実施するピアサポート支援など、多胎妊産婦や父親に対する支援への補助事業を実施している。

⑹妊婦健康診査について
 妊婦健診の受診を勧奨するため、健診の重要性の理解を促進するためのリーフレットをホームページに掲載した。

⑺多胎妊娠の妊婦健康診査事業について
 市区町村は、多胎児を妊娠した妊婦が、追加で受診する妊婦健診に係る費用の補助を積極的にご活用いただきたい。

⑻産婦健康診査事業について
 産後2週間、産後1か月などの出産後間もない時期の産婦に対する健診に係る補助事業を実施している。産婦健診事業の実施に当たっては、産後うつへの早期対応を行うため、産後ケア事業を実施することを要件としている。

⑼予期せぬ妊娠等で悩む若年妊婦等への支援について
 予期せぬ妊娠などにより、身体的、精神的な悩みや不安を抱えた若年妊婦等が、身近な地域で必要な支援を受けられるよう、NPO等による、SNS等やアウトリーチによる相談支援や、緊急一時的な居場所の確保などを実施するための費用を引き続き計上しているため、都道府県等は、積極的にご活用いただきたい。

⑽母子保健施策を通じた児童虐待防止対策の推進について
 乳幼児健康診査未受診者等に対する取組の事例集を作成した。また、専門委員会において、母子保健と児童福祉の相談支援等を一体的に行う体制等について検討が行われ、22年2月10日に報告書を公表した。

02.不妊症・不育症への支援について

⑴不妊治療の保険適用について
 人工受精等の「一般不妊治療」、体外受精・顕微授精等の「生殖補助医療」について、22年4月から新たに保険適用されることとなった。詳細については、今後正式に発出される告示・通知等を確認いただきたい。

⑵不育症検査費用助成について
 先進医療として実施される不育症検査に要する費用への助成を行うための補助を22年度予算案においても引き続き計上している。なお、助成対象となる検査は追って連絡する。

⑶不妊症・不育症への相談支援等
 不妊専門相談センター事業の加算として「不妊症・不育症支援ネットワーク事業」を創設し、不妊専門相談センターにおいて、医療機関・自治体・当事者団体等で構成される協議会の実施、不妊症・不育症の心理社会的支援に係るカウンセラーの配置、当事者団体等によるピアサポート活動等への支援の実施などを実施するための予算を21年度予算に計上した。
 不妊や流産や死産、子どもを亡くした方の心理的な悩みに対しては、当事者同士によるピアサポートが重要とされており、当事者団体等によるピアサポート活動等への支援について、積極的にご検討いただきたい。
 22年度予算案では、「女性健康支援センター」、「不妊専門相談センター」などを統合して、「性と健康の相談センター事業」を創設することとしている。また、国は不妊治療等に関する広報啓発、ピアサポーター等の研修を実施することとしている。

03.新型コロナウイルス感染症に対する妊産婦への支援について

 「妊婦への寄り添い型支援」については、これまで新型コロナウイルス感染症に感染していることが確認された妊産婦を対象としていたところ、21年度補正予算分からは、コロナ感染の有無に関わらず、支援を希望する妊産婦を対象としている。

04.非侵襲性出生前遺伝学的検査(NIPT)について

 NIPT等出生前検査の適切な運用に資するため、22年度予算案において、国は妊婦等に対する正しい情報の提供及び相談支援、認証医療機関における受検を促進するための広報啓発を実施することとしている。

05.成育基本法について

 成育基本法(略称)において、都道府県が、医療計画等を作成するに当たっては、同法の趣旨や成育医療等基本方針の記載内容を踏まえ、記載するよう努めていただきたい。

06.「健やか親子21(第2次)」の推進について

 公式ウェブサイトのリニューアルを行った。
 22年度の「健やか親子21全国大会(母子保健計画全国大会)」は、10月27日(木)~28日(金)に島根県で開催予定である。

07.新生児聴覚検査について

 各市区町村は、新生児聴覚検査の実施、公費による負担への取組をお願いするとともに、都道府県等は、関係者からなる協議会を設置するなど新生児聴覚検査体制整備事業を活用し、管内市町村における新生児聴覚検査の実施体制の整備への支援をお願いしたい。

08.予防のための子どもの死亡検証(CDR)について

 22年度予算案において、データや提言の集約、ポータルサイトの運用及び予防可能な子どもの死亡事故の予防策等に係る普及啓発等を実施することとしている。

09.乳幼児健康診査について

⑴乳幼児健康診査の実施について
 「乳幼児健康診査事業実践ガイド」及び「乳幼児健康診査身体診察マニュアル」を、引き続き活用していただきたい。
⑵乳幼児健康診査の未受診者の受診勧奨について
 乳幼児健診未受診家庭を把握した際には、児童福祉担当部署等に情報提供を行い、連携して子どもの安全確認を徹底していただきたい。
⑶乳幼児健康診査における発達障害の早期発見及び情報の引継ぎについて
 乳幼児健診において、発達障害の早期発見が効果的に行われるよう、市町村の取り組み事例を参考に、積極的な取り組みをお願いするとともに、発達障害児に対する一貫した、切れ目のない支援のため乳幼児健診の結果等の進学先への積極的な引継ぎについて検討をお願いする。

10.母子保健情報の利活用の推進について

 厚労省データヘルス改革推進本部は、全国で医療情報を確認できる仕組みの拡大、電子処方箋の仕組みの構築、自身の保健医療情報を活用できる仕組みの拡大、を集中的に実行することとしている。

11.母子健康手帳の交付等について

 視覚に障害のある妊産婦には、本人の希望を踏まえながら、一般の母子健康手帳とあわせて、「点字版母子健康手帳」の配布をお願いしたい。点字版母子健康手帳の印刷にかかる経費については、地方交付税措置が講じられている。
 他にも、パソコンなどで読む・聞くことができる電子図書「マルチメディアデイジー版母子健康手帳(CD-ROM)」が作成されており、利用者のニーズに合わせてご案内をお願いしたい。


写真  点字版母子健康手帳(左)、マルチメディアデイジー版母子健康手帳(右)
お問い合わせは本会まで。*電話03(3269)4727

12.妊産婦や乳幼児に関する栄養・食生活について

⑴妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針について
 21年3月に「妊産婦のための食生活指針」を改定し、名称を「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針」とした。改定後の指針は、妊娠前からの健康づくりや妊産婦に必要とされる食事内容とともに、妊産婦の生活全般、からだや心の健康にも配慮した10項目から構成する。また、「妊娠中の体重増加指導の目安」を参考として提示している。あわせて、保健医療従事者等を対象とした解説要領を作成した。
⑵授乳・離乳の支援について
 授乳や離乳について分かりやすく記載したリーフレットを、厚労省ウェブサイトに掲載した。
⑶災害時の授乳支援ついて
 各自治体は、平時から「育児用ミルク」及び「使い捨て哺乳瓶」をはじめとした授乳用品などの母子に必要となる物資の備蓄をお願いする。

13.旧優生保護法について

 旧優生保護法一時金の支給対象者が確実に請求を行うことができるよう、厚労省は複数のメディアを通じて周知広報を実施してきたところである。
 厚労省及び都道府県への一時金の請求件数は1,138件、支給認定件数は966件(ともに22年1月末時点)であった。


「こども家庭庁」は内閣府の外局として2023年4月設置へ



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