今年のプロ野球日本シリーズは、ヤクルトがオリックスを制し、20年ぶり6度目の優勝を果たしました。優勝が決定したシリーズ第6戦での、「代打の神様」と呼ばれるヤクルト川端慎吾選手による勝ち越しタイムリーヒットがとても印象的でしたが、第4戦でヤクルト石川雅規投手が41歳10か月で勝利投手となったことも記憶に残っています。
近年、スポーツを見ていると、試合の判定の場面において、ハイテク技術を補助的に導入することが増えているように感じます。野球であれば、ビデオによってプレーを検証する「リクエスト制度」という仕組みや、サッカーでは「VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)」というビデオ判定の仕組みがありますし、テニスの大会でもボールがラインの内か外かCGを使って判定する「チャレンジシステム」があります。
このような判定を技術によって補助する仕組みは、誤審やトラブルを減らすことにつながる点でとても良いと思います。この流れは今後も加速していくと思われます。
最近では選手がプレーの中で電子機器を活用する試みも行われています。野球において、投手・捕手間で次のプレーを確認するために、ハンドサインなどを使いますが、これを相手チームが読み取り打者などに密かに伝達する行為、いわゆる「サイン盗み」がたびたび問題になっています。その対策として、米国メジャーリーグ下部組織の一部では、ハンドサインなどの代わりに電子機器を用いたサイン交換を試験導入しているというニュースを見ました。捕手の手首に装着した送信機のボタンを押すとサインが送信され、捕手のヘルメットと投手の帽子の中に装着した受信機に届く仕組みだそうです。このような機器の導入により10年後、20年後とスポーツの風景がどのように変化していくのでしょうか。 (大野聡)